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『 1年2組 学級日誌 』 (新長編小説)
・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
(昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)
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【1月11日(木)晴れ 23番 T・Y】
(22番のTKさんが
お休みなので、
23番が先に書きます。)
昭和48年の
1月11日です。
明けまして
おめでとうございます。
去年は祖父が亡くなったので、
年賀状が出せなくて
どうもすいません。
明日12日は、
「 金剛登山(1000m)」です。
私は、JK付属の
中学校から来ていますので、
3回登っています。
登り40分から50分、
下り40分です。
実に しんどい です。
だけど、
樹氷や霧氷があり、
別世界です。
途中の展望台から
大阪が一望できます。
それは 素晴らしい のです。
一つだけ
抗議したいことがあります。
一周回って最後に
「登山記念」に
鉛筆が一本頂けますが、
せめて「ぜんざい」を
一杯 お願いします。
話し変わって、
M先生は、
意外とセンスが良いですね。
先生のしているネクタイの
黄色と紺のチェック、
茶色の無地、
両方とも私の気にいっているのです。
私も二本ほど持っています。
今年は、黒か茶色のニットタイを
買おうと思っています。
センスの話しでついでですが、
アイビーとヤンキーと
フィリピンとヒッピーの
どれが好きですか?
私はアイビーが好きですが、
見ているのはフィリピンが好きです。
細いズボンにブーツを履いて、
上は革ジャンを着て
背の高い人が着れば
「カッコイイーー!」です。
NHKの番組
「スタジオ101」を
見たことありますか?
その中に
「河内広明(通称ヒロ)」が
そんな格好をしているのです。
彼は細くて背が高くて
非常に非常によく似合うのです。
例のコマーシャル
「エメロォーーォン
オイルリンス」
あの歌は、
このヒロが歌っているのです。
それから、ヒッピーの服装ですが、
服の事を気にせずに、
どこでも座ったり
出来るので良いですね。
まあ、服は、似合うのを
着ていればいいと思います。
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ぼくは、12月後半の
スキー部の合宿中、
「比良山」のスキー場で
「 左足膝の骨折 」。
だから、
12日の「金剛登山」、
登れず、
麓(ふもと)の休憩室で
半日過ごしたけど、
つまらなかったね。
だけど、
そこの店に本があって、
千早赤坂村
(ちはやあかさかむら)の
「千早城」と
南北朝時代の武将
「 楠木正成(くすのきまさしげ)」の
歴史が書かれており、
勉強し、感動した。
金剛山一帯を本拠地とする。
河内地方の商業や輸送の
利権をめぐって、
これを独占しようとする
幕府側と 正成 は対立、
8万の幕府軍が
たった千人の正成軍に
敗北した。
正成の作戦は、
目の前の大軍と戦わずに、
その補給部隊を
近隣の農民達と連携して叩き、
敵の食糧を断つという、
「千早城そのものが囮(おとり)」
という 前代未聞 のものだった。
山中で飢餓に陥った
幕府兵とは対照的に、
抜け道から千早城内へ
どんどん食糧が運び込まれ、
3ヶ月が経っても
ピンピンしていた。
やがて幕府軍からは数百人単位で
撤退する部隊が続出し、
戦線は 総崩れ になった。
室町時代の軍記物語
『 太平記 』には、
正成について
「智・仁・勇の三徳を備え、
命をかけて善道を守るは
古より今に至るまで
正成ほどの者は未だいない」
と刻んでいる。
君は頂上まで登ったそうだね。
「雪がちょっと降っていて、
樹氷がキラキラ光って美しかっ」と
降りてきたときに教えてくれたこと、
ありがとう。
「ぜんざい」の件、
素晴らしいけど、
誰が頂上まで
持って行くのかを考えると、
実行は無理みたい……。
ネクタイを褒めて頂き、
ありがとうございます。
君はかなりのセンスを持った
女の子だと思っていたので、
その子から褒められて
まんざらでもない気持ちで、
まあ、ほろ酔いの気持ちである。
実に気持ち良い。
以上
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