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『 　1年2組　学級日誌　』　 (新長編小説)　
　　　　　　・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
　　　　　　　　（昭和47〈1972〉年４月～４８年３月まで）

　　



【９月２７日（水）晴　２８番Ｔ・Ｊ】

この日誌がまた回って来たのは、

とっても嬉しいけれど、

「何を書こうか」

必死で考えなければならないわ。

でも、気ままに書くしかありません。

この頃私は　ボケッ　として、

何をやりに学校に行っているのか

分からないみたい。

授業が始まっても

いつまでも眠たくて

先生の話をろくに聞いていないし、

そのくせ、休み時間になると

目がパッチリさえて、

風邪をひいてちよっと声がかれている

今でも大声で喋りまくっています。

でも、私って

相手がとても慣れている人でなければ、

そんなにうち解けて話すことが出来ません。

だからきっと１年生の終わり頃になって

５４名とは友達になれないだろうと思います。

中学の時なんか

女子はたったの

１８名だったのよ。

だからもう団結していたけど、

今はちょっと多すぎる感じ。

でも、とってもいい人ばかりで良かった。

努力してなるべくみんなと

仲良く慣れるように頑張らなくっちゃ。

私自分じゃとても

寂しがり屋だと思います。

学校にいる時は明るいけれど、

一人になるとすぐに寂しくて、

誰かに優しい言葉をかけられると、

もう嬉しくて。

この頃寂しくなると、

中学校の時の友達に

手紙を書くことにしています。

私、手紙書くのとても好きです。

すぐ私は友達を求めてしまう。

何をするのでも一人では絶対出来ないし、

何でも誰かと一緒にしたくなってくる。

甘ったれ屋なのかな。


今日のＨＲ（ホームルーム）の時

「男女交際」の話、

これから役に立つだろうと思います。

私、最近男子と話したことがないみたい。

ＢＦ（ボーイフレンド）のいる人を

うらやましく思います。

高校に入った時は、

「きっとＢＦを見付けてみせる」

と思っていたいたけど、

最近はチャンスがないし、

もうあきらめている感じ。

でも、デートって

一ペンでいいからやってみたい。

私だったら恥ずかしくて

何も話せないんじゃないかしら。

今日、Ｍ先生が

「男子は、性の対象としてだけ

女子を求めている」とか、

いろんな話しをしてくださったけど、

そんなのを聞くと、

何だか

「男子って、いやらしい」

と思えてきます。

私はまだ子供なのか知らないけど、

キスの事とか、

中学校の時に経験した子がいるとか、

そんな事ちっとも考えていなかった。

高校に入ってそんな噂をきいたり、

実際にあった話とか聞いて、

驚いちゃっているのであります。

みんなずいぶんオマセっていうか

大人なんだな。

でも私はそんなの

まだまだ考えられない。

今はそれでいいと思う。

だって、まだ相手もいないんだもの、

仕方ない。

もし見つかったとしても、

家のお母さん、うるさいんじゃないかな。

あまり言われたらいやだ

（お母ちゃんでも）。

私は何をするために

生きているんだろうな。

何だか毎日何もしないで

生きているように思います。

また、あんな遠い学校に何を求めて

行くんだろかって思っています。

この頃何で近い学校に

しとけへんかったのかなぁと思います。

朝満員電車で揺られて行くのが

面倒くさい。

そのくせ、学校でも案外楽しんです

（休み時間だけ）。

何か生き甲斐のようなものを見付けたいと、

いつもいつも思っている。

早く“生き甲斐”を見付けて、

「私はあれに向かって

何々をしているんだ」

っていう目標みたいなものがほしい。

将来何になりたい……

それさえ分からない。

でも、人の出来ないような事をしたい。

今の内に将来の準備をしておきたい。


フォーククラブ、ちょっぴり

イヤになってきちゃってるけど、

なんとか続けています。

文化祭に発表するので大変です。

前のように恥を書かないように

頑張るね、センセイ。

追伸、

・南沙織の

「哀愁のページ」大好きなんだ。

・「日誌ノート」家に持って帰ると

破れそうになっていたので、

ちょっぴり処置しました。

さようなら。

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ＨＲ（ホームルーム）の事。

「男子って、いやらしい」

のではないと思います。

やはり、女子と男子の身体の違いだと思います。

男子は、精神的にも肉体的にも

「攻撃型」です。

ところが、女子の場合は

「受身型」です。

その違いだろうと思います。

「男子はいやらしい」という言い方は、

だから間違っていると思います。

ただし、その「攻撃型」を

どのようにコントロール出来るかが問題です。

やはり、「理性」でなされると思います。

理性は、

「いたわり」や「人間尊重」

の気持ちとして現れます。

男子はこの

「理性（労り・人間尊重）」が必要です。

むろん、女子もそうです。

女子は、男子が「理性」を持てるように

接しなければなりません。

女子が理性を持てば、

男子もそれを持つでしょう。

変に男子の攻撃型に乗ってしまうと

（例えば街で声を掛けられ

それに乗ってしまう。

あるいは、意識的に暗い場所に行く……）

ダメだという事です。

ただし、最近は

徐々に変わりつつあるようです。

「ＪＫ」に来る前に

「男子校」の講師をしていましたが、

優しい男子というか、

温和しい男子というか、

ややナヨナヨした、

内股の感じの男子が多くなってきた

ように思います。

また、この女子校の「ＪＫ」では、

仕草や行動が、

男子ぽいというか、

荒々しいというか、

外股感じの女子を見かけます。

将来は、男女全員が

「中性」になるのか

もしれませんネ。

これは、「男子校」「女子校」の

両方を見てきた、

ぼくの勝手な想像です。

話しは変わります。

君のこの日誌に対する

心遣（づか）いを嬉しく思います。

ぼろぼろになっていたノートも、

君の処置で良くなりました。

ありがとう御座います。

女子のこういう心遣いが男子にとって、

心優しい女子に思えます。

これからも続けて行って下さい。

　　　　　以上

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