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『 1年2組 学級日誌 』  (新長編小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)

  


  



5月28日(月) 曇り 40番 H・Y

 家族。父は40才。

とても肥っていて、

体重は100kg引く数kg。

母は、背が低い。

私はその娘。

祖父は、とても頑固、

今はもう隠居してます。

祖母は、まだ

工場の仕事を手伝ってくれてます。

叔母は家事手伝いで、

叔父は銀行員。

妹は、何故か

私と同じ年齢で、

よく似た顔をしている。

弟は、野球部のキャプテン。

浅黒い顔(M先生といい勝負、失礼)で、

私の弟とは思えない。


どうか、私の悩みを聞いてください。

私、小学校の時、

とても嫌な子だったんです。

級友の悪口を友達に話したり、

喧嘩になったこともある。

そんな性格が嫌で、

中学校の時は、

気の優しい誰にも好かれる

女の子になろうと思い

努力したんです。

家の仕事が忙しいためか、

家に帰ってから妹と二人で

夕食の用意を毎日してたんです。

その事が近所に知られ、

皆から

「 あの娘らは、賢いねんで! 」

って言われてきたんです。

褒(ほ)められることも

してないんですけど……。

それがまた邪魔になって、

自分の思った事も

はっきり言えない女の子になって

しまったんです。

私はそれでも良いと思っていたんです。

でもこの頃、

それは間違っているんじゃないか、

なんて考えるようになったんです。

私、とても気がいいから、

友達に頼まれたら大抵なんでもしてきた。

それをいい事に、

チョとした事でも私に頼んで、

私がそれを聞き入れてやらないと、

すぐに スネル のです。

だから仕方なくやったげるんですけど……。

なにか私を 馬鹿 にしているような、

そんな気が時々するんです。

(私の考え過ぎかな?)

私の説明不十分で

分からないところがあるかもしれません。

が、どうかご勘弁(このカンベンの漢字を

テストの時に間違った)を……。


つまり、私はこのまま

「誰にも好かれる女の子になるために

 努力 し、

 気のいい女の子 のままでいい」のか、

それとも、

「 自分の意見が言える活発な少女

 になる」

のがいいのか、

分からないのです。


先ほどまで、テレビで

「 あの橋の畔(あぜ)で 」

を見てました。

とても可愛そうだったので、

母と妹と私で オイオイ

 泣いていました。

今1時10分です。

母の事を私は

「 お母ちゃん 」と呼びます。

この呼び方が 親近感 を呼びます。

将来 結婚 したら、

義母 のことを “お母さん” と呼び、

母 のことを “お母ちゃん”

 と呼びたいなと思っています。

おやすみなさい。

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 君の悩み事だけど、

ぼくも同じ事を感じる時がある。

だから、

君の気持ちがよく分かるような気がする。

例えば、頼まれ事など、

よっぽど出来ないことは別として、

すぐに引き受けてしまう。

それで、ある意味でバカに思われてしまう

ように思える

(君も書いてるけど)。

そんな時 こう思うことにしている。

「人に頼まれるということは、

人に信頼され、

信用されているということだ」 と。

信頼されてなかったり、

信用していなかったら、

人は頼まない。

ぼくは、自分の気持ちを大事にしたい。

それと同時に、

人の気持ちも大事にしたい。

そこで、悩む。

本当に悩む。

自分が傷ついたように思える。

「人を傷つけないようにすれば

自分が傷つき、

自分を傷つけないようにすれば、

人が傷つく」 と思える。

これは、ものすごく デリケートな神経 

を持った人しか

わかりにくいと思うけど、

ぼくがデリケートな神経を持っている

というわけじゃないけど、

ものすごく苦しむ。

そんなときこう考える。

「人を傷つけるより、

自分が傷つく方がまだ立ち直れる」と。

人を傷つけると、

後味が悪い。

これは、ちょうど、

水が上から下に流れるのと同じで、

「自分が、大きな湖や広い海になって、

いろんなところから流れてくるものを

受け止めていよう」 と。

「自分には厳しく、

人には優しくしょう。」

それは、自分を、

より人間として成長させるために。

君の「お母さん」についての

呼び方の所を読んで、

感動した。

心が温かくなってきた。 

               以上

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