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『 1年2組 学級日誌 』 (新長編小説)
・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
(昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)
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【11月16日(木)晴 3番 I・Y】
今HRで話し合っている
「同和教育」について。
私達は中学の時
『 橋のない川 』
『葛の葉伝説(信太のきつね火)』
などを中心に話し合いました。
映画と劇などを見て、
感想を書いたり、
作文を書いたり、
標語を作ったりしました。
私は
『橋のない川』の映画を見て、
女の子が大人の人に
「部落の人は夜になると
ヘビのように手が冷たくなる」聞いて、
ある男の子の手を握って試した。
男の子は何も知らず、
ただ女の子に手を握ってもらって嬉しかった。
でも、男の子が女の子から
何故手を握ったかを聞かされた時、
どれ程ショックを受けた事でしょう。
次に、部落が火事になった。
でも、そこには、
消火器がない。
それで隣の村へ頼んだが、
「なんや、部落や、
ほっとけ、ほっとけ」
と言うような事を言った。
そのため部落は丸焼け。
そして警察がこの火事は 放火 だと言う。
それで火の出た家の子を捕らえて
放火したことの作り話を創って 問いつめる。
でもその子は
「しない。決してしていない」と言うのに、
無理に放火したように言わせる。
それでとうとうその子は
自殺してしまう。
その子の父は、その子を抱いて、
村の人々に
「こいつはこの通り、
死んでお詫び申しております。
どうか許してやって下さい。
こいつは死んでしまいました。」
と言って回りました。
私は涙が出てきて止まりませんでした。
部落民だからと言って何もしていないのに、
罪をなすりつける。
部落民だからと言って馬鹿にする。
こんな世の中で良いのでしょうか?
もう一つ言いたいことが有ります。
それは、親の世代 の考え方です。
親の世代 の考え方は、
大変古いです。
だから、私達の街では、
「 親の同和教育 」が有ります。
私の親も話しを聞きに行ってます。
このようにして、
もっと 新しい考え を持ってほしいです。
最後に、私が 標語 を作りました。
・・・『人間の敵、
それは“差別”だ。
全ての“差別”をなくして行こう!!!』・・・
文化祭の「フランクフルト」の販売、
大成功 でした。
爆弾事件 の時には、
全部売れてしまっていて、
ホットしました。
(売れ残っても、
学校が買ってくださる事を聞き、
さすが
「私立学校。お金持だ」と思いました。)
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「フランクフルト」
本当にご苦労様でした。
よくやってくれました。
ありがとうございます。
「ヤルだけやった。
肩たたき合って、オツカレサン」って、
誰かが黒板に書いてたけど、
本当にご苦労様でした。
「同和教育」について、
君が書いているように
“人間の敵、それは 差別 ”だと思います。
人間の最低のエゴが、
そこに有ると思います。
封建社会の時代のほんの一部の人間が、
自分達だけが裕福になるために、
あらゆる利益を搾取(さくしゅ)するために始めた
「身分制度」、
これは正に人間の
「エゴ」です。
今日の 民主主義社会 の日本に、
この「エゴ」を残しておいてはいけません。
しかし、一部の世代の人達が、
まだこの 封建社会形態 の考えを
持ち続けています。
その観念が実に愚かである事を考えずに
持ち続けているのです。
その人達の目を覚まさせねばなりません。
若い世代の物が、
その古い観念を持っている人達の目を
覚まさせるのです。
君の書いている
『橋のない川』の
小説を読みました。
HRで話した 島崎藤村の
『破戒(はかい)』
を読んでみて下さい。
みんなが 平等 で有るために、
僕らは 前進 しなければなりません。
“人間はみんな 平等 なんだ!”
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