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『 JK　1年2組　学級日誌　』　 (新長編小説)　
　　　　　　・・・半世紀前の女子高の学級日誌・・・
　　　　　　　　（昭和47〈1972〉年３月～４８年３月まで）

　　



【９月２５日（月）曇のち晴　２６番Ｔ・Ｓ】

　ハーイ、Ｍ先生、やっと

２回目回ってきたわ。

私日記書くの好きだけど字が下手だから、

すぐやめてしまうの！

　Ｍ先生、私の相談乗ってくれる？

では、まず一つ目

　それは、私が中学２年まで

付き合った男の子、

その子は私より一つ年下、

今は中学三年なんだ。

何となく　喧嘩別れ　になったりもしたけど、

でも、この頃は

気軽に話せる男の子と私は、

今でも思っていた。

ところが、私と中学３年生まで仲が良かった

女の友達がいて、

高校になって学校も違ったけど、

何でも話せる友達だった。

ところが、重大な事を

聞いてしまったんだ。

　それは、この夏休みに、

この地域の

「スポーツ少年団」というグループで、

二人ともリーダーなので

割と遅くまで仕事をした帰りに、

二人は

「キスをした」と言いました。

私はビックラコンでした。

だってその男の子、

とっても温和しい感じでした。

ショック！！！

二人とも

別の好きな子がいるのに、

興味本位で

「キス」するなんて、

私は許しません。

そして今は、

あまり友達と話ししません。

「キス」ってそんな興味本位だけで、

好きでもない子とするって

不潔だと思うの。

Ｍ先生、意見を書いて！！！


　次は二つ目

　私、お盆の日に

中学校のクラスメイトと会ったんだ。

ビックラコン。

煙草吸って

お酒飲んでぐでんぐでんに酔って。

私男の子ってみんなあんなんかしら

と幻滅したわ。

そんなに中学生と高校生って

変わるものなの？


　三つ目

　私の親友のことなの。

中学校の時、私達三人

（私が親友と思っている女子でＫさん）は、

クラスの　笑わせ役　みたいだったの。

ところが、

このごろ友達から聞くＫさんのことは、

煙草お酒に変な男の子と付き合っている

噂ばかりなの！

私は私立に行ったから

不良になるってことないと思うの。

Ｋさんは、公立落ちて私立に行ったけど、

まさかそんな事ぐらいで

そんなに悪くなるはずないわね。

　私この頃「友達」って

分からなくなったの。

何でも話せるし相談にのってくれるのが

「友」なのに、

友達によって人が変わるみたい……。

信頼していた友に今裏切られて

信じられなくなったわ。

Ｍ先生　友達に裏切られた　ことはある？


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　君からの相談、

ちょっと戸惑いました。

しかし、だいじな事ですので

真面目に書きます。

だから君も真面目に読んで下さい。

ぼくは言葉で上手く言えないだろうから、

この日誌で書きます。

　９月９日以降１２日の

この日誌で書きましたが、

木崎国嘉（くによし）著の

『思春期の性と悩み』の

Ｐ１５０に

「異性の友達がほしい」と訴えている人が、

中学３年生で男子８０％・

女子７３．３％だそうです。

思春期に異性に興味を持つのは、

医学的には

「男性ホルモン」によってだそうです。

もう少し変えて言うと

「性を意識」させるのは、

この“男性ホルモン”です。

男性ホルモンは、女子より男子の方が

多いのは当たり前です。

女子の“プラトニックラブ”

（精神的な愛・純潔な愛）

という言葉が好きだろうと思いますが

男子はそうではなく、

性衝動そのものを考えます。

もうちょっと誇張して書きますと、

男子は女子に、

ただ性欲の対象としてだけ

向かって行く場合があるのです。

これは男性ホルモンによって

そうさせるのです。

これは、理性でコントロール出来ますが、

出来ない時もあります。

女子はその事に気付かず、

男の子をロマンチックに見てしまいます。

この男子と女子の違いを知らないと、

女子は結果的に

傷つく事になるのです。

ぼくが以前君たちに

「ボーイフレンドを持つことは賛成だ、

しかし、

真面目な人を見付けてなさい」

と言っていたのは、

“理性によってコントロール

出来る人を見付けなさい”

という意味を含んでいます。

　それからもう一つ重要なことは、

病気（性病）のことです。

ぼくは高校時代男子校でしたが、

保健の時間に

「性病（梅毒）」について習いました。

身体が腐ってくる写真

を見せて貰った。

みだらに物事を行うと

どうなるかを知った。

　二つめの事ですが、

男子が全部そうだということはありません。

１割～２割までだと思います。

原因は、

友や環境や家庭のしつけに関係します。

高校生は「コトナ」という

子供と大人の間で、

身体は大人で精神は子供です。

多くの生徒は、

スポーツや読書や音楽や絵や

ガール（ボーイ）・フレンドで

その時期を過ごします。

一つ目の事に関連しますが、

この時に本能だけで生きる行いをすると

大変な事になります。

　三つ目の事も関連します。

友達といってもいろいろあります。

相手とどれだけ心を開いて

接するかが重要です。

６月１９日の

５１番Ｍ・Ｋさんのところで書いた

「親友であるための条件」

を読んで下さい。　　　

　　以上

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