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『 1年2組 学級日誌 』 (新長編小説)
・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
(昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)
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【6月26日(月)晴れ 2番I・K】
今日の「落語研究会」
すごくやる気を起こさせてくれた。
でも、チョット惨(みじ)めやったのは、
青ちゃんもトーちゃんもカズミー先輩も、
もちろん偉大なるシミズー先輩も、
みんな上手い。
私、がんばらんとあかんわ!
今日の「落研」クラブで気付いたんですけど、
女の子が落語やるって、
そんなにハンディキャップがあるんですか?
M先生が時々
「女の子やから……」言うし、
私のお父ちゃんも、初め
「落研」に入部するのを猛反対してて、
その理由が、
「女の子やから……」です。
プロのゴローさん(コメディナンバーワン)とか
仁鶴さんも女の子の弟子入りしたい
と言ってきたら
「あんたは女の子やから……」と言うそうです。
私、男の子と女の子
「何かをやる」という事に置いては、
同じだと思います。
授業で男は「技術」で女は「家庭」
を習うっていうのは、まあ分かりますけど、
「落語」をやるとか、
政界へ出る(話しは大きい)
とかと言うんだったら
「男・女」は
区別される事ナイと思うんです。
先生の意見を、お願いします。
今日、学校から帰ったら
7時40分でした。
(駅で親友たち〈4人〉に会って、
ズーとしゃべってたんです。
今日の漢文
「推敲(すしこう)」の、
不意に友人に会ったときの喜びで、
駅で長話です。
遅くなって家に帰って、
怒られるかなぁ、
とビクビクしながらかえったんですけど、
いつも通り、
「オカエリー」だったので、ほっとしました。
で、親友4人と書いたら、
「そんなに親友なんて、
たくさんいるものじゃないヨ!」
って言われるかな。
でも、親友です。
「女の子の友情なんて、はかない」
って言われるけれど、
私達五人(私も入れて五人)は、
絶対にそんなことはない。
たとえば、そいつが気に入らない所があれば、
ズバッときつく言ってしまうし、
そいつはそれを真っ直ぐに受け止めて「直す」。
私も言われるけど、
でも、喧嘩はやった。
これからもやるだろうけど、
喧嘩位で壊れる、
そんじょそこらの安物の友情じゃない!
男みたいな付き合いで、
言葉使いにしても、
「俺」「黙れ」「アホ」とか、
まあ汚いこと。
この日誌にでもよく出てくるけど、
「親友がいない」という悩みのある人に、
ナマイキかも知れないけど、
作ろう作ろうとアセッたって、
絶対にできない、と思うんです。
これは保証付きです。
ホントに、
いつ・どこで・どうなって友達ができるのか、
分からんもんですもん。
「気長に待つのだ。そんな人が現れるのが、
20歳でも、30歳でも、
あるいは60歳でもいいじゃん!」
そう思って、
それより友達一人一人を大切にしていくんです。
そうすれば、
大切にしていた友達の中から、
きっと親友ができると思うんですヨ。
話し変わりますけど、
先生!私、チョッとね、
このごろ悩んでるんです。
「学級委員」であることについて。
格好良く立候補してね、
いやしくもなったものの、
私今まで何一つまともなことやっていません。
宿題はやらんヮ・
早弁はやるヮ・
授業は真面目に聞かへんヮ・
それにまして勉強はできんヮ・
頼りないヮ・
統率力はないヮ、
もう本当にええとこなんかあらん。
私、ホントに学級委員やる資格ないやん。
このごろつくづくと思います。
2学期は立候補やりません。
もっと人を引っ張っていける力がなければ、
やれるもんじゃナイ。
私もっと自分を養って成長してから、
今度は「自信もって」立候補するんだ。
2組に、あの人ならやれる、
と思う人いてるんです。
私、その人をマネしたいわけじゃないけど、
その人のしっかりしたところ、
本当に羨ましい。
この頃、学校がすごく面白い時と、
全然面白くなくて
たまらなくイヤな時があります。
どうしてかなーーー。
つくづく考えるんです。
満員電車にゆられて
1時間15分もかけてね「JK」へ行く。
この学校
それほどの価値があるところだろうかって。
価値のあるなしを決めるのは、
私自身なんですけど……。
早く何かを見つけたい。
この前、
1番のIMさんにこのことを言ったら、
「いつでも、
動いてるっていうことが、大事や」
って教えてくれました。
あの子も、たまに、良いこと言う。
話し変わって、
夏休みに学年で行く研修旅行、
楽しみです。
「比叡山(ひえいざん)」は、
昔は
「女人禁制」やったそうですが、
「JK」という女子校を受け入れてくれるなんて、
進んでますね。
部屋割り何とかいけそうです。先生の
「一人でも仲間はずれが出たら、
先生が勝手に部屋割りを決める。」
のこの一言で、みんな譲りあって、
なんとかいけそうです。
ありがとう、先生。
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落語のことで、
「男女に違いがあるか」についてだけど、
違いはないと思うけど、
ハンディがあるように思える。
普通一般的に、
女子は、素敵なお嫁ちゃんになるのが、
夢だろうと思う。
男子も多くは、
それを望んでいるようだ。
だから、自分の奥さんか娘さんに、
「エー、バカバカしいお笑いを……」とやられると、
困る感じがあるし、女子自身も
「そんなこと恥ずかしくて……」という感じになる。
男子の場合、
指導するものがいなくても、
自分たちで勝手に練習する。
そこが男女の違いだろうか?
でも、今年の1年生は、
かなりやってくれそうだから、
このジンクス(?)
もなくなるかもしれない。
学級委員のことだけど、
よく頑張ってくれている。
感謝している。
君が自分で
「自分はダメだ」と思うのは、
思いすぎというものです。
元気をだして
来学期も立候補してください。
それから、
「学校にくるのがどうも……」
についてだけど、
学校で
何かの楽しみを見つけないといけないよ。
以上
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