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『 1年2組 学級日誌 』 (新長編小説)
・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
(昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)
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【9月14日(水)曇 18番S・J】
このノート、2冊になったから
鞄の中に入れて持って帰るのが、
重たくなったわ。
これ以上増えたらどうしょう。
きっとⅠ-Ⅱの大日誌典になるかな?
末が楽しみ。
あっ、そうそう、
M先生が頭髪検査で
「頭の髪の毛を切ってきなさい」
と言ったのでちゃんと切ってきました。
実は、父にも言われてたんです。
でもネ、私の頭の形悪いでしょう。
だからどうしても首を隠したくなるの。
目標は
「南沙織」さんのように
長――く伸ばすこと。
秋・・・
私って何となく寒くなる季節の方が
好きなんです。
秋から冬に移り変わる時なんて、
なんとも言えない位悲しくて切なくて、
まるで失恋でもしたかのように……
胸にこたえてくるのです。
中学校の時、
よく教室の外に出て
草の上に座って写生した。
あの頃なんとも言えないなーーァ。
私 絵が好きで美術の時間は、
熱心にしていました。
美術の先生(はげ頭の先生)が来ると、
まぶしーーとか、
太陽が出てきたとか言って、
私もよく笑っていた。
でも、絵に関しては、
その先生を尊敬していました。
私決めました。
美術部に入部することを。
絵は下手でも頑張っていくつもりです。
高校時代なんて
もう二度と来ないと思うと、
今の内に何でもして置かなきゃ……。
出来れば3年間続けるつもりで
入部しようと思います。
16才17才、
私にとって一生忘れられない日々になると思う。
このままの私では、
何か物足りなくて……。
ただ一つ悩みがあります。
それは、これから冬にかけて暗くなるでしょう。
私の家は学校から遠いから、
一人で帰るのが恐い。
友達誘って入部出来たら
仕合わせだな。
この前も電車の中で、
例の変態人間に会いました。
もう、腹が立つ。
大声で「キャーー」と叫びたかった。
日誌で書いてあったように
「針」かなんかで懲らしめてやりたい。
明日は、私の大嫌いな
「数学のテスト」があります。
いつものような点を取らないように
頑張らなくっちゃ。では、これで。
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『1年2組 大日誌典』
が出来上がるの、ぼくも楽しみです。
この日誌、
本当に多くのことが書かれてあります。
ぼくは、この日誌を始めようと思い、
4月7日の
「入学式」の後に書いた
「最初のページ」の所で、
期待 と 希望 とそれ以上に
不安 がありました。
この日誌を
みんなは書いてくれるのだろうか?
どこまでその時の 真実 を
書いてくれるのだろうか?
例えば天気予報だけとか、
時間割だけとか、
授業の時間割だけとか……
本当に 不安 だった。
そして、ぼく自身が、
一人ひとりに対する返事がかけるのか?
とも悩みました。
しかし、どうだろう。
今はそんな 不安 は全くありません。
ノートがどんどん膨れあがり、
しかも 中身が実に濃い 、
すなわち 質も量 も
最大のものであることが嬉しいです。
君たちの努力によってでしょう。
お礼を言います。
あと半年よろしくお願いします。
美術部は、
帰りは遅くならない。
ただし、文化祭までに作品が
出来上がってないと、遅くなる。
同じ方向に帰る人と入部するといい。
以上
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