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『 1年2組 学級日誌 』  (新長編小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)





  



【6月20日(火)曇り 52番Y・T】

 現在の人間の大多数が、

「国定観念」という強いクサリ(鎖)に

縛られている。

例えば、

「温度のない世界を

想像してごらんなさい」と言うと、

ほとんどの人は,

「温度のない世界?

そんなものはないではないか、

想像するなんて無理な話」

と言うのは、

人間がかつてに決めたものである

ということを忘れているからである。

「生徒と先生は断絶している」

と言われる人は、

先生に対する固定観念を捨てて、

自分の方から先生に

話しかけて行かなければ、

断絶は大きくなるばかりだと思う。

先生一人に対して、多くの生徒がいるので、

いくら待っても話しかけてくれない。

そこで、

「誰だって、尻尾を振ってくる犬は可愛い」

ということで、近づいていけば、

意外な先生の姿を見つける事が

出来るかもしれない。

「固定観念」に左右されず、

いろいろのものに羽を伸ばそう。


 今、この世界に、いったい何人の人が

他人に何かを奉仕し、

少しでも何かに役立ちたいと

思っている人が

どれだけいるだろうか?

ただ思うだけでなく、実行した人は、

何人いるだろうか?

奉仕するということは、

容易な事ではない。

見せかけは奉仕のようだが、

その裏には「名誉」という言葉が

隠されている場合が多い。

今の政治家達の中に、

「地位や名誉やお金」

の事を考えないで、

本当により良い日本にしょう

と思っている立派な人は、

さて何人いるだろうか?

そして、

牧師・医師・教師と

聖職であるはずの職業は、

いつまでその地位を

保っているだろうか?

医師は営利主義を唱え、

教師は出世のため贈賄(ぞうわい)

という汚い手口を使う。

だから最近の新聞は、

学生運動・公害とともに

汚職(おしょく)

の事で賑(にぎ)わっている。

見せかけの人間にはなりたくない。

また、そう努力したい。

そういう人は、

「地位や名誉やお金」よりも

「人間でありたい」と

願った方が良いのではないか?

彼らはもはや

「人間失格」

なんだから……。


 話しは変わって、

「友情」について書きます。

「女性の友情の大半は、

まったくバカゲテいる」と思う。

彼らの友情は、

いつもくっついて同じ考えでないと、

気がすまない。

人生相談と秘密の教え合いがないと、

落ち着かないというものだ!


独立した考え方で、

相手を尊重することができない。

悲しい事だ、と思う。

と言っても、

男性ばかりが友情の本家でもない。

彼らの中にも

随分馬鹿げたのがいるが、

熱血漫画の見過ぎも甚(はなは)だしい。

しかし、男子の友情の方が、

長続きするのは事実だ。

だいたい、

友情を信じようと意気込んでみても

仕方ない事だと思う。

あらゆる事に対して

冷静に話し合うことだ。

ちょっとした事で

チャラチャラ慰(なぐさ)めあうな!!!

そんなのに限って後は続かない。

お手々つないで、

おそろいのスタイルでショッピングに行く。

そんなの友情なんかじゃない。

ボーイフレンドに振られて

ヨヨンと泣くのを、

一緒に泣いてくれるのが友情だ、

なんて思うなよ!!!


時間なんて問題じゃない。

人類が続く限り、

友情は続くはずだ。

男なんかに負けるこたぁない。


だが、

相手を尊重しなくてはいけない。

それが一番大切だ。

自由を認め合い、

若者らしく伸び伸びと付き合って

行こう!!!

(言葉遣いが乱暴になって、

本当にすいませんでした。)

この意見は、

あくまでも私の意見であって、

私自身が、

こういう風にしている

わけではありませんから、

お間違えのない様に。


 又話しは変わって、


今日の6限のHR(ホームルーム)の事を、

少し書かせてください。

みんな

「男女交際」

について、それぞれの意見を

持っていたようで、

羨(うらや)ましかったナ。

今までに、

「男女交際」って事を

話し合った事もなかったので、

みんなの意見を聞いて、

たじろいだって感じ。


37番のNYさんのことだけども、

「すごく偉い人だナァ」と思った。

この日誌を読んでも、

そう思う。

あの人のした行為の事ではなく、

悪いって事に気がついたと言うこと。


それにみんなの前で

言いたくなかった事を話し、

本当にみんなの事を

考えていたという事です。

本当に素敵な人ですね。

みんなと一緒に

拍手を贈りたいです。


BFいる人、

多いですね。

でも、羨(うらや)ましいとは、

思っていません。

今の私の唯一の楽しみは、

友達とクラブ。

この二つで、頭の中は一杯なのです。

当分、男の子の事は、

おわずけです。では。


 追伸、

一つ書き忘れたので、書きます。

「校則」のことですが、

「厳しい」のは、

私達のためだから、守る事はできます。

でも、

何故「紙袋」は、

いけないのですか?

副鞄は、自由で、

華美なものもあります。

それなら、紙袋も良いはずだと思います。

教えてください、

M先生。

=====/======/=========

   しっかりした意見を頂き、

ありがとう。

1年2組の多くの皆さんは、

驚くほど、立派な意見を持っています。

あなたの意見は、高校1年生ではなく、

大学生と言っても通用します。

いや、それ以上です。

担任として、嬉しいです。


 「紙袋」についてですが、

何故いけないか?

について書きます。

まず、ぼく自身の気持ちから書くと、

紙袋は、そんなに悪いとは思えません。

が、校則はいけない

となっている理由を聞きますと、

なるほどと納得します。

君は「華美」について書いていますが、

それよりも先に、

「何故紙袋を持たなければ

ならないのか?」

と考えるべきだろうと思います。

「副鞄」でなく、

何故「紙袋」でないといけないのか?

の理由が言えない限り、

副鞄でいいじゃないか、

と言うことになります。

 以前にもありましたが、

大きな髪袋の中に

「私服」を入れ、

学校帰りに、

どこかの「トイレ」で着替え、

鞄と制服は駅のロッカーに預け、

遊びに行く。

これは、やっぱり問題です。

全部の生徒は、

そんなことはしないでしょうが、

一部の人がそれをするのです。

僕達教師は、

一人の生徒でも非行に進むのを

止めなければなりません。

保護者の方々から、

大事なお嬢さんを預かっているかぎり、

教師の仕事です。

公立校の場合、

学校内だけの指導で、

後は感知しない、

いわゆる

「ほったらかしの教育」

のやり方ですが、

(公立の先生ごめんなさい。

全員の先生の事ではありません。)

私学は、

「木目細かな教育」

が求められています。

一人の生徒でも

非行に進むことをストップします。


 学校で必要なものを入れるのに、

副鞄程度の大きさで十分だと思います。

では、

小さい紙袋なら良いではないか、

となりますが、

「紙袋」その物を認めると、

それが無限に広がります。

副鞄ではなく、

紙袋が必要の理由がはっきりしない限り、

紙袋は禁止です。  この説明で分かったかな?

       以上

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