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『 1年2組 学級日誌 』 (新長編小説)
・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
(昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)
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【11月28日(火)晴れ 12番 K・Y】
M先生、私ね、今日、
おかしくなったんです。
目が変だったんです。
3時間目のグラマの時間、
急におかしくなったんです。
自分の書いた字が、
消えたように見えるんです。
あわててノートを目に近づけると、
ちゃんと見えたので
ホットしました。
でもノートを元の位置に戻すと、
また変なんです。
その時間中ずっと
そんな状態が続きました。
次の4時間目の生物の時間、
プリントを見ていたら、
読めないんです。
ひらがなとやさしい漢字しか分からず、
知っているはずなのに
だんだん分からなくなり、
このまま行くと全部が
分からなくなるのではと思いました。
でも、5時間目には元に戻り
いつも通りになったので、
ほっとしました。
話しは変わって、
今、ラジオを聞きながら
書いているんですけど、
「兄妹」というレコードがかかっています。
この唄の内容は、
「幼い頃妹は、
兄のお嫁さんになると言って
お母さんを困らせた、
というんです。
今ではその時の思い出が懐かしい」
という内容です。
私にもこんな思い出があるんです。
私には兄はいません。
でも、兄に相当するような人はいます。
私より1才上のいとこなんです。
幼いころ、私達家族が
いとこの家族と一緒に住んでいました。
私はお兄ちゃんといつも一緒で、
何処へ行くのでもいつも一緒です。
だってお兄ちゃんがいなくなると
泣いちゃうだもん。
これは母の話むですが、
私とお兄ちゃんが一緒に
保育所へ行くようになったんです。
が、一緒の組に入れなかったので、
私は泣き続け、保育所の先生に
そこを追い出されたそうです。
小学校へ行ったときも
お兄ちゃんと一緒でした。
でも当然1年違います。
が、学校へは一緒です。
ところが、中学校に
お兄ちゃんが進学してから、
私の失恋に繋がったんです。
私が中学校に上がった時、
もうすでに女の子との噂が
上がっていました。
それが何と、
クラブの先輩だったんてず。
二人の交際は、
中学校を卒業するまで続きました。
そしは、
「私はお兄ちゃんのお嫁さんになるんだ」
という希望は、
はかなく破れさったのです。
でも、二人の交際は長く続かず、
中学校を卒業するとすぐに壊れたんです。
一瞬喜びました。
でもお兄ちゃんはすぐに
新しい彼女を見つけました。
同じ学校の同じ学年の子です。
今ではもう諦めています。
この頃では家に行っても
彼女の話ばっかりです。
いやになっちゃう。
人の気持ちも知らないで……。
でも、やっぱり好きです。
だって、旅行に行く時、
お土産はせびると、
「お前のは一番先に書いてある」
と言ってくれるのです。
だから、お兄ちゃんが
一番好きです。
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永六輔作詞・中村八大作曲
『幼なじみ』
という唄を知っていますか?
良い唄です。
♪幼なじみの思い出は、
青いレモンの味がする。
閉じる瞼のその置くに
幼い姿の君と僕♪
この歌の最後は、
結婚する。
そうなれば良いね。