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『 1年2組 学級日誌 』   (新長編小説)
      ・・・半世紀前の女子高の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)


  



  



 【4月15日(土)雨 7番O・Y】


M先生、私一人でクラブに行きました

(テニス)。

I先生に勧められて……。

初めはやはり気まずかったけど、

先輩も話をしてくれたし、

クラブってすごくいいものですね。

キザになるけど

、「私の青春は、テニスで飾りたい」

と思っています。

テニス!!私の青春を預かってください。

 今まで附属中学の間は、

テニスを憎み、

軽蔑してきました。

それは、先輩のことで、

あまりにも厳しいので、

何んでこんなに叱られてまで

行かんとあかんのか、

分らなかった。

でも、今は、違います。

先輩が厳しいのなら

腕と根性で勝負。

今は下手だが、

今に見ておれ、

という気持ちが湧いています。

苦しかったことを土台とし、

高校生として恥じることのないように

頑張りたいです。

先生、応援して下さい。


 M先生は、 

私にとって「お父さん」であり

「BF」であり「兄さん」です。

この日誌を読んで、

ホレボレです。

先生は先生ではありません。

先生は、兄貴です。

先生の妹にしてください。


 今度は家族について書きます。

5人家族で、

父は42才(デザイナー)。

頭の真ん中がハゲていて、

横には余るほど生えてます。

次に母、36才で

私の姉とした方がいい感じで、

すごくかわいい女で、

顔もまあまあ

(父が引かれたのもわけない)。

母と二人で市場に行くと、

「姉妹ですか?」と

よく言われる。

母親が若く見られるというのは、

気分のいいものです。

妹は身長が私と同じくらいで

小柄ですが、

オマセ・キザ・エラソバリ・

憎たらしいからもう書かない、

中学1年です。

弟は幼稚園で、まだ5才です。

可愛いいのなんの、

よだれが出るくらいです。

今、怪獣に取りつかれています。

「仮面ライダー」

「ライオン丸」

「バロムワン」など、

テレビ番組のことなら何でもOK。

それから、カーキチ ガイで、

台600円~1500円の車を

150~200台持っていて、

名前は全部知っています。

自慢じゃないけど、頭がいいのかな?


 私は、将来デザイナーになりたい。

顔の方のデザインもいいかな?

母の顔を塗たっくています。

 では、この辺で、さようなら。

これからもよろしくお願いします。


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 「私の青春は、テニスで飾りたい」

君のこの言葉を聞いて、

ぼくは嬉しい。

僕達は、

あめ玉をしゃぶって立っている

子供でもないし、

盆栽をいじって座っている老人でもない。

何か行動出来る、

あるいは、

何か行動しなければならない年代。

何も考えず、何も行動しない

年代でもない。

君は「テニス」を選んだ。

3年間、苦しいことばかりかもしれない。

しかし、

苦しいことをやり遂げた後、

あの素晴らしい

清々(すがすが)しい気持ちを

自分のものにするために、

頑張ってほしい。

 「青春」とは、いったい何だろう。

映画やテレビや本の題ではないけど、

ものすごく

大きな問題だと思う。

一度皆でホームルームの時間に

話し合ったらいいと思う。

 「妹にしてください」とありましたが、

もちろんです。

ぼくは、1年2組皆の兄貴だと思っている。

偶然、1年2組になった僕達は、

みんなでお互いに助け合って

学校生活を送って行きたい。

 「 助け合う 心一つで 事故は0 

 助け合う心一つで 皆元気 」

             以上


  追伸 

 16日、「川端康成」が自殺した。

ショックです。

葬儀に東京へ行こうかな……。

               以上

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