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『 1年2組 学級日誌 』 (新長編小説)
・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
(昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)
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【1月27日(土) 晴 34番 N・R】
さあーてと
日誌を手にしたものの
何を書こうか
迷っちゃいました。
書くことはいろいろ浮かぶんですけど
上手く表現できない。
悲しい事です。
でも、ぼちぼちやりますわ!
今日の話しから。
朝、M先生と会いましたね。
後ろを振り向いていたのを
知らなかったんです。
私はクラブの先輩と話しをしながら
歩いていたんです。
そしたら後ろから
車の音がしたから、
「スットンキョウ」で
足を高く上げて
「ヒョイヒョイ」と
道の隅にによったんです。
そこをM先生が
見てらっしゃってたんですネ。
お里が知れたというか、
恥をかきました。
とんだハプニング。
(話しは忘れましょう)
話し変わって。
現在読んでいる本は、
坂口安吾の
『暗い青春、魔の退屈』ですが、
この本は本屋さんで何となく手が伸びて、
何となく読んでみたくなって
買ったんです。
180円也。
その時もう一冊買ったんです。
それは武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)の
『友情・愛と死』。
これは高橋副校長先生推薦(すいせん)ですね。
一度読んだことはあったんですけれど、
忘れましたからもう一度。
感心、感心ですね。
副校長先生と言えば、
とても本好きですね。
朝礼の時いつも副校長先生は
いろいろな本の話しをしてくれます。
いつもこれが楽しみです。
何故なら、副校長先生の話には
「情(じょう)」がこもっていて
吸い込まれちゃうんです。
M先生もそうです。
(お世辞ではなく、本当です。)
また印象に残った本や
感激した本を教えて下さい。
よろしくお願いします。
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昨日の朝、
君は実に見事に「ストンキョウ」と
足を高く上げ「ヒョイヒョイ」と
道のすみに寄ったものだ。
あのタイミングといい、動
作といい表彰ものであった。
あの感覚というか、
タイミングを絵に表現すれば、
素晴らしい作品が出来上がると思う。
ぜひ、描いてみてください。
本の事ですが、
今、テネシー・ウイリアムズの戯曲
『ガラスの動物園』を読んでいます。
悲しい物語です。
高校生の時にも読んだけど、
淋しい気持ちになってしまった。
ウイングフィールドという
中流以下の家庭の話しだけど、
「ローラ」という女性がいる。
この女性は幼児期に
疾病(しっぺい・病気)がもとで、
片足が不自由になった。
だから、すべてに消極的になり、
人目をさける性格なのだ。
この戯曲の題
『ガラスの動物園』というのは、
ローラがガラスで作られた
動物を収集している事と、
ローラ自身もあまりにも
ガラスのように繊細で、
今にも壊れそうな性格から来ている。
一度読んでみて下さい。
この作家は、他に
『欲望という名の電車』がある。
『愛と死』は、
中学校の時初めて読んだ。
主人公「野々村夏子」さんは、
気持ちの可愛い人だ。
また、主人公の「私」も純粋で真面目で、
二人とも典型的な「白樺派」だ。
二人の手紙のやりとりは、
新鮮なものがあふれている。
何度も読んだ。
副校長は、人格的に素晴らしい方だ。
温情があふれ尊敬している。
ぼくはこの「JK」高校に
講師として赴任する以前に
「MG」男子高校で講師をしていた。
その時、副校長が「MG」高校の
校長の所に話しに来られて、
「JK」女子高校に就職するように
おっしゃって頂いた。
副校長のお陰でこの「JK」の講師になれた。
「君の教育論をそのままやってみてください。」
と言って下さり、
ありがたい事です。
ぼくは、女子高校で教師をするなど
自信が無かった。
こんな言い方をして良いかどうか分からないが、
男子の教育の方が
将来に楽しみ
(受験で国立○○大学に合格……等)が
あるように思っていた。
が、副校長は、
女子教育の重要性を教えて下さった。
女子の教育、
それは、
【教育による女子の成長と共に、
もう一つは、
その女子が
「母親」になった時に、
子供に教育できる女性を育てる。】
という事でした。
そう聞いて、この「JK」に来ました。
副校長は、その教育をそのまま
実践・実行しておられます。
「情」のある教育です。
以上