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『 1年2組 学級日誌 』  (新長編小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)

  



【9月28日(木)晴 29番T・N】

 今日のニュースから。

「 日中国交 」

が、いよいよ回復しました。

本当に嬉しいことです。

二千年も昔から 日本と中国 とは、

深い付き合いをして来たのですから、

手を取り合って仲良くするのが

当然だと思います。

田中首相、

本当にご苦労さん。


 私の家の「 鈴虫 」を紹介します。

六月の中頃、

姉が友達からスズムシの幼虫を

二十匹位貰ってきました。

その時は、まだほんのアリぐらいで、

ただうろうろと歩き回っていたのです。

母が、

「大切にみんなで世話をしてやったら、

秋にはきっと

良い声で鳴くようになるわよ」と言って、

梅酒の空ビンに洗った砂をしいて、

木の株や草と一緒に入れてやりました。

エサは、ナスやキュウリの輪切り、

かつを節の粉、

玉子の黄身など。

毎日 霧 を吹いてやるのです。

一月も経つとどんどん大きくなって

羽も生えて来ました。

少々住まいが窮屈そうになったので、

大きな水槽に移し変えました。

私はまだスズムシの鳴き声を

はっきり聞いた事がなかったので、

早く鳴かないかと

毎日楽しみに待っていました。


 八月二十日に初めて

しわがれた声で鳴いたのです、

その時は夜中だったのですが、

母が思わず目を覚まして、

隣に寝ていた父を起こして

報告したそうです。

それから2,3日経って夕方になると、

決まって鳴き始めるようになりました。

「リーン、リーン」

と本当に鈴を鳴らすような

澄んだ音です。

M先生にも

聞かせてあげたいくらいですよ。

鳴くといっても

羽を立ててこすり合わせているのですが、

焦げ茶色の小さな薄い羽から、

どうしてあんなに良い音が出るのか、

まったく不思議でなりません。

じっと見ていると

一匹ずつ思い思いに鳴くのではなく、

一匹が鳴き出すと他のも

一斉に鳴き出すといったぐあいに、

まるで一定の間隔をおいて

合唱しているようです。

雄だけが鳴くので、

何故かと見ていると、

「きっとガールフレンドを捜すためよ」

と母が言いました。

この頃は一晩中泣き続けて、

朝私が学校へ行く時も

「頑張れ、ガンバレ」と

応援してくれているように思われますし、

学校から帰ると

「お疲れさん」と迎えてくれているようで、

全く可愛いです。

あと少しで

全部死んでしまうそうです。

(ただし、来年のために

卵だけは産みつけておくそうです。)

 生きている限り一生懸命に

鳴き続けるスズムシを見ていると、

“頑張らなくっちゃ!”

と思います。

今も「リーン、リーン」と

綺麗(きれい)な声が聞こえて来ます。

オワリ。

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 「鈴虫」は、本当に良い鳴き声だ。

「リーン、リーン」と澄んだ混じりけのない素晴らしい音色だ。

私も小学校の時、家で飼っていた。

ただ次の年までに、飼っていたビンがほったらかしになっていて、

可哀想に次の年まで「卵」はなくなっていた。

土がカラカラになっていたからだ。

TNさん、時々ビンの土が乾燥しないようにしてくださいね。

鈴虫は、ひと夏の生命だけど、力いっぱい泣き続ける。

子孫を残すために、あるいはひと夏の恋のために泣き続ける。

素晴らしいですね。

蝉もそうですが、彼らのあの情熱には、足下にも寄れない。

 鈴虫や蝉よりも、もっと命の短いのが「蜻蛉(かげろう)」です。

カゲロウは、幼虫の時には水中に二~三年いて、

五月頃の夕方成虫になり、産卵のために天に向かってひたすら羽ばたいて上り、

天上で交尾し地中で産卵を終えて死んでいくそうです。

ひたすら子孫を残すために数時間のみ生きているのです。

はかない命ですね。

でも、その間は一生懸命生きています。

トンボに似ているそうですが、ぼく自身は見たことがありません。

そうそう、古典に『蜻蛉(かげろう)日記』があります。

藤原道綱(みちつな)の日記文学です。

図書館で探して読んでみて下さい。    以上



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