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『 1年2組 学級日誌 』  (連載小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)



  



【6月15日(木)晴れ 49番M・S】

 作文、下手だから嫌いだけど、

日記や詩とかは大好き。 

このクラス大好き、みんな好きだけど、

自分自身は嫌い。

なぜ?

よく分からないけど嫌いだ。

言うことがはっきりしすぎなのだ。

白なら白、黒なら黒と

はっきり言ってしまうのだ。

だから、人を傷つけてしまうのです。

また、捻(ひね)くれているもん。

○×が人の言う逆をやってしまうのである。

けど、さびしいんだ。


 中学校の時も、いろんなことあった。

クラブである。

私のエゴイズムから出た問題。

バトミントンとは出る人数が決まって来る。

四人しか出れないのである。

シングルスからいうと、

第3シングルの位置を貰えるのであるが、

顧問の先生と喧嘩をしたのである。

やっぱり私のエゴもあるが、

一人の友達の言った言葉から発展した。

「口は災いのもと」と言うが、

本当だと思う。

人に悪い印象を与えると、

何時までもひびくものだ。

だからまたバドミントンに入ったのは、

その先生を見返すことと、

力がどこまで通じるかを知るためと、

この失敗を

二度と繰り返したくないのである。

喧嘩はよくしたけど、

仲のいいクラブだった。

今度も“ガンバルヨ!”。


 私「さみしい」と書いた。

私は明るい女の子であると思う。

けど、私は親友というものがいなかった。

出来ないのである。

みんなといてても、

寂しいと感じることが多かった。

友達はいっぱいいる。

けど、心を開いて話す人っていないんだ。

私は欲しいんだけど、

どうしてかな?


 私は、双子(ふたご)の姉で。

妹がいる。

いい妹だか、私は嫌だ。

引け目があるのである。

バトミントンをしても、

勝ち目はナシ。

勉強にしても妹は公立、

私は私学。

男子からの持て方も違う。

向こうはいつも男子に

囲まれている感じで、私はナシ。

妹を見ていると、双生児なのに

どうしてこうも違うのかな?

そら、一人の人間だと言えば

それでオシマイかもしれない。

けど、他人は二人を比べる。

そしたら、いろんな事が出てくると思う。

だから、イヤだ。

自分にも良い所があるんだと思っても、

母とかに勉強の事を言われると

とてもいやだ。

私の方が、頭が悪いのも

知能指数が低いのも知っている。

けど、親にも他人にも

言われるのはイヤだ。


人は、劣等感という屈辱

(くつじょく・

はずかしめられて、面目を失うこと)

をしているのだろうか?

劣等感は、自分で考えるだけならいいけど、

はっきりした形で出てきたら、

涙が出るほど悔しい思いをすると思う。

 これで負けたらいけないけど、

私は負け犬になってしまった

のかも知れない。

いつも心の中で、

反抗したり、恨んだり。

けど、妹とはあまり喧嘩はしない。

私は妹が好きだ。

血が繋(つな)がっている

かも知れないし、

よく似た人間がいててもいいと思う。

違った形で存在しててもいいと思う。


   私の友達に

時間に追われている人がいる。

大阪でもトップクラスの高校に

入学した人だけど、

中学の時からそうだった。

親の言うレールの上に乗って、

自分も学校の示したレールの上を、

真っ直ぐ歩いている。

太宰治の

『瘤(こぶ)取り聖人』

見たいな子である。

勉強が人生であるといった人だ。

私は初め

その人が羨(うらや)ましかった。

勉強が出来、真面目であるからである。

けど、私は考え直した。

はっきり言って私は、

勉強は見ての通り出来ない人間であるが、

自分の時間は持っている。

必ず1時間は、

自分の楽しみのために使っている。

本を読んだり、手紙を書いたり、

それが絶対いいとは思わないが、

息の詰まる人生は、

送りたくない。

勉強が出来ないのは、

いけないけど……。


 広い荒野をただもくもくと歩く

 何を求めているのか分からず

 ただ幽霊のように

 広い空をみあげながら

 寂しそうな影を見せながら

 何を求めているのか分からず。

 何が悲しいのか分からず。

 いつか瞳が教えてくれるだろう


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 「親友」について書きます。

君が心を大きく開いていれば、

必然的に生まれます。

ただし、待っているだけではいけせん。

君が心を大きく開いて、

友と接近することです。

友の気持ちにもなって

接近することです。

自分の心に壁を作ってはいけません。

そして、人の心にも

壁を作る行為をしたり、

言葉をかけてはいけません。

自分の心に壁をつくらず、

人の心にも壁を作らさせない、

これが重要です。

友が困っているときは、

自分のことは置いて、

友の事をやることです。


「バトミントン同好会」についてですが、

昨年、出来たばかりのクラブですが、

君の上手さにびっくりしました。

この間、ちょっと見ただけで分かりました。

2組には、君を含めて3名いますが、

3名とも上手です。

中学校からの経験者です。

期待していますし、

応援しています。


この世のもの(万物・ばんぶつ)を

本当に好きになるためには、

まず、

自分自身を愛さなければなりません。

自己を尊重する事によって初めて、

他者をも尊重出来ます。


“自己尊重なくして、

他者尊重なし”


 君は、この日誌に、

ぼくやクラスのみんなが好きだが、

「自分自身は嫌い」

と書いています。

やはり、それは、

いけないと思います。

君は、君自身の素晴らしさを

見つけ出してほしい。

ぼくから見た君は、

「努力家で潔癖な人」と見ている。

君の努力と潔癖は素晴らしいと思う。

      以上 

 追伸、君の妹さんに、

「文化祭にぜひJKにお越し下さい。」

とお伝え下さい。

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