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『  1年2組 学級日誌 』  (新長編小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)

  



【7月3日(月)晴 8番O・M】

 とうとう2回目が来た。

時が過ぎるって早いナ。

この間に何を得たのでしょうか?

毎日毎日何となく送っていて、

私自身ダメな人間になって来ているよ。

自分で追求しようと思う事もあるけど、

この学校外なら張り切るけれど、

内じゃ 無関心無気力 という感じ。

 来週から1週間「 期末テスト 」があって、

その後の週からの「 研修会 」は、

行きたくない。

「 比叡山(ひえいざん)」や「 延暦寺(えんりゃくじ)」が

「いやだ」ではなくて、

この前の遠足から

家に帰って来た気持ちと同じ。

そんなの耐えきれない。

もう毎日、

苦痛に耐えることが出来なくなりました。

しかし、まあ、母を見ると

可哀想なので行くことにするよ。

 遠足の日の朝、

私が休みたいと言っているのに、

母は休ませてくれない

とふくれていると、

悲しそうな顔をして

「まだ学校に慣れないの?」

と色々心配してくれる。

こっちが悪人の様に思えて来て、

すまなく立ち上がると

駅まで送ってくれた。

電車が来るまで

心配そうに見ていたナ。

(本当に私は悪人だ)

その時、

駅の前にある大きな木に誓ったのに……。

 “我慢してこの学校に付いて行くよ。

(こういう時期もあってもいいよね。)”

  友人は多数いる。

全然見知らぬ人と口を開いたら、

もう友人よ。

けれど、親友は違うナ。

私の性格(人それぞれに思う様なこと)

を理解してくれる。

11人グループ

(私を含んで)の中で、

私ともう一人変わり者がいる。

その人は他の女子校に通っている。

登下校、駅から一緒に行き帰っているが、

この人まあ

私よりひどい理屈っぽいのよ。

自分の意見を通さないと

気が済まないのが、二人の共通点。

電車の中で毎日 討論 している。

この前、28年ぶりに

日本に グアム から帰国した、

横井正一さん について話し合っていると、

電車の中にいる全員の人が

こちらを見て笑っているではないか。

(でもいいよ。

他人の目なんか気にしないよダ。)

話し合う事は素晴らしい。

けれど、

親しくない人から言われたら

腹が立つ。

このもう一冊の日誌に

「M先生は腹黒い」と書いた。

少し軽率過ぎるが、

大人って汚いよ。

何を考え出すか分からないもの。

M先生だって、

理想をいつも言っているけれど、

結局、現実は違うでしょう?

よく考え直すと、

別にM先生がどうあろうと

関係ないよね。

要領よく生きるよ。

それが、

この学校に一番似合っているわ。


本を好まなくなりました。

油絵もフォークソングも詩も……。

親友達と夏休みにじっくり話し合い、

吹き飛ばしたい、モヤモヤを……。

夏休みが過ぎ、九月からは、

変身しようと思います。

精神的にいつも分かっているし、

判断出来る人ですから、

悩んでしまいます。

中学校の時の先生に、よく

「考えることが早過ぎる」と言われた。

こんな女の子、

私は嫌いです。

けれど、

みんなの知らない私があります。

だから、

悩み苦しんでいる事、

知らない私とて゛、

格好良く 生きているんです。

気分によって違って来るから、

明るいときは面白い人物だ。

この面白さを、まだ見せたくない。


私の性格は、女と合わない。

だから普通男の子と雑談する。

好きという感情で話す、

と上手く行きません。

いつも、男の子から電話がかかり、

30分くらい話します。

相談に乗ったり乗られたりが多いですが、

中でも男女交際に

手を出してくれと言われた。

みなさん、

私がうまくやって上げるという事に

偏見(へんけん)を持たないで。

私だってよく男の子に

やってもらったんだ。

私が困っていると助けてくれるし、

私が間違っていると、

はっきり注意してくれる。

会うといつも冗談話になるので、

私を女の子と認めてくれない。

こんな調子でいると

中に私を好きになった男の子もいたけど、

私の気持ちをくんで友人でいるよ。

私が恋をすると、

普段男の子と話しているのと全然違う。

足がガクガクで無口。気を使う。

結局こういう人はダメなのかもしれない。

友人の中の人と結ばれるかも。

だって、気を使うことにより、

本性が分からない人ですものね。

(本性が分かって幻滅すると思うよ。)


私は男子に対してこう感じている。

  1段階 女友達と同じ様な人。

  2段階 これの少し上を憧れる

  3段階 ボーイフレンド

  4段階 恋人

1と3とは、同じ意味じゃないのよ。

男友達は、ボーイフレンドと解釈した所で、

今の日本の考え方は、

全く意味が違っているよ。

私は今ボーイフレンドが欲しい。

これまではほのかな憧れだつたけれど、

今の日本人の考える

深い意味を持つボーイフレンドがね。

このフィリング分かる?

どっちでもいいけど、

私は私なりの考え方なんだから、

何も言わないで。

別に弱点を言われ、

こっちが不利になるからじゃないんです。

(これ以上、もう、

悩みを増やしたくないからなの。)

少しの事でも傷つきやすい。

私は、小説の主人公。


模擬テストの悪さに、

親友・母に笑われた。

(あんまりの悪さに驚いて)

悪気でじゃなくね。


クラスの人達へ

どうして、みんな、

人の成績が気になるの?

私の悪成績は、みんな知らないから、

何も言わないけれど、

裏で他の人達のことを言っている

のを聞くとイヤになる。

よく、そんなに人の成績を

批判出来るのね。

だからいやなんです、

このクラスが……。

成績以外の事でも、

もし誰かがみんなの気に入らない事をすると、

影でコソコソするでしょう。

私はひっそり、

貴女方の裏を見ているので分かっています。

ついて行けません。

だから、

一人でいます。

(このクラス内でも)

話したり冗談は言ったりするけど、

一人でしょう。

その方が、

他人を気になんかしなくてすむもの。

(1番のAMさんのようになりたい。

みなさん、なってください。)

 勝手すぎるのよね、私って。

社会へ出ても偉くはなれないわ。

耐えることを知らなければ……。

 今からお風呂に入る。

バイバイ!馬鹿な子より。

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 君の文章を読んでいると、

排他的(はいたてき)なものを感じる。

自分の仲間以外のすべては

排除(はいじょ)する人間のように見える。

そしてそれは、

すべてに対する虚無感(きょむかん)という

むなしさから出発している様に見える。

それは、意識的なのか無意識的なのか、

ぼくには分からないが、

怠惰(たいだ)という

ナマケからきているのではなく、

厭世的(えんせいてき)という

この世が嫌になるものから

きているように見える。

 この厭世は、真実を見たいために

モガキ、ナヤミ、

そして自分の考える結論が掌中(しょうちゅう)という

手のひらに入らないために、

今度は、まったく自分の独断によって、

その真実を定義づけているように見える。

 しかし、

君は素晴らしい 笑み を持っている。

その笑みは、

厭世(えんせい)からくるものでは

絶対ない。

全くの純粋な笑みである。

何度か君のその素晴らしい笑みを見た。

それで、ぼくには分からなくなっている。

厭世的なものと笑みとは、

どこで結びつくのか、

ぼくには分からない。

 しかし、ぼくは一年間

君を見つめていたいと思う。

むろん、いくつか推測すれば、

それは、君の照れ隠し

からくるものかもしれない。

あるいは、君の気まま

からくるのかも知れない。

あるいは、君の中には、

その全く相反するものが

存在するのかも知れない。

あるいは、全くの君のポーズ

なのかも知れない。etc……。

 今は結論など出したくないと思う。

ゆっくり君を見ていたいと思う。

 ただ、ぼくの望んでいるのは、

君の本心は、笑み、

すなわち 純粋 なものであってほしいと思う。

厭世的なものであってほしくないと思う。

君の 宝物 は、

絵画とフォークソングだと思う。

頑張ってほしい。

 話しは変わって、

いよいよ来週から期末考査、

そして、比叡山の夏の宿泊研修、

そして待望の夏休みです。

身体に気を付けてください。


========/=========/========

1学期の「学級日誌」は、

今日でストップし、

「夏休み」です。

2学期の「9月1日」に、

9番から再開します。

好御期待下さい。 

          以上

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