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『  1年2組 学級日誌 』  (新長編小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)

  







【11月1日(水)曇 49番 M・S】

ついに回ってきた。

描くことが有り過ぎて、

何から書こうか迷っているよ。

彼女は割と

デリケートな神経をしているから、

あんまり強いことは書けないんだ。

○月×日(△)

文化祭 が近付いて来るので、

今はとても彼女は忙しい。

怠け者の彼女が フランクフルト に

生命を掛けて頑張っているよ。

フランクフルトよく売れると思うよ。

男子は大好きだもん、フランクフルトが。

模擬店 うまく成功する事

祈っているよ。

○月×日(△)

彼女この頃あまり

クラブに行ってない。

クラブが面白くないのかい?

やっぱり 同好会 の運動クラブは

うまく行かないかい?

何もかも彼女の肩に掛かってくるから

責任が重すぎるのかい?

それとも上手く行かないのかい?

ぼくはそんな君が嫌いだ。


別に何でもないんだ。

ただ、面白くないの!

何でもみんなから 強制 されているって事が、

それに一人で 責任 を持つなんて

出来ないよ。

しんどいのだ。

ただ気が重いんだ。

もう何もかも 嫌 なんだ。

ただ静かにしていたいのだ。

早く家に帰って

ゆっくりしてみたいだけ。

ただそれだけ。

けど、勝手な事かしら。

我が儘かしら。

それは現実からの 逃避 さ。

自分で気にいらないものは

いくらでもあるさ。

けど、自分で

首を絞めている気持ち。

そら顧問の先生はいらっしゃる。

しかし、何も知らないのよ、

一度もバトミントンしたことない、先生。

でも、下手でもみんなに教えなくちゃ。

だから嫌なの。

教えるって事が しんどいんだ。

みんな勝手。

自分の気持ちを 満足 させようとするの。

私が教えるという立場にいるために、

みんなと同じようには出来ないんだ、

辛いんだ。


この世に 存在 している限り、

もしこの世から無くなったら、

そこには何も残らないさ。

ただ後には、

残されたものの 悲しみ が残るだけ。

私この頃考えるの、

もし私がこの世から いなくなった時、

悲しんでくれる人は誰?

父さん・母さん・妹・おじいさん・おばあさん、

こんなものかしらーー。

けど 淋しい じゃない。

一人でいなくなるなんて。

生まれて来た時は一人だというけど、

私は二人(双子)だったわ。

いなくなる時も一人じゃいや。

みんなと一緒でなくちゃ。

友達の中にいてても、

ぽっかり 穴 があく時もあるけど、

一人じゃいや。

とても淋しいから、

悲しいから、

むなしいから。


中学生・高校生の死。

こんな惨(みじ)めでいやなものはない。

人生の敗北。

現実の美化のし過ぎ。

これから先の事を考えると、

その虚しさ。

何もしなくて 死んでいく。

なんて ばかばかしいの。

けど、私は否定しないわ。

私も、ふと考えるから。

敗北者 でもいい。

ただ、ぼけっとしていたいから。

無の世界 にいたいから。


私の好きな詩がある。

空に追われた白い雲は 

泥にまみれるだけ  

棺に納めた愛は

もう燃やすだけ  

アポロに乗せた愛は 

永遠の彼方へ去っていた

地球を踏み抜いた俺は 

ただ落ちるだけ 

赤く染まった霧の中を

自分でない自分が歩み寄る 

口笛でひと吹きで 

それらすべて無に帰す

朝焼けの中に


 これは負け犬の詩。

私は 負け犬 だけには

なりたくない。

負け犬、大嫌い。

私は、フォークソングが好き。

しかも、反戦歌・静かな曲。

「ボブ・デイラン」

弾き語りみたいなもの。

反戦歌は悲しすぎる。

だから私の心に引っかかる。

監視すぎる事はすきじぁない。

でも何か引っかかる。

私は、不良 が好き。

煙草を吸うのとは違うの。

孤独な不良、

意地っ張りなの。

=========/=========/========

 文化祭、

「フランクフルト」よろしく頼む。

「店の名前を考えといて欲しい」ということで、

フランス語の

“モンプチ”(可愛い人)(愛しいひと)。

“モンシェリー”もいいけど、

ありふれている。

やっぱり

“モンプチ”だ。

 クラブ(同好会)

について書きます。

君達でバトミントン同好会を結成しました。

顧問の先生は、

未経験です。

でも引き受けて下さった。

引き受けてくれる先生がいないと、

結成できません。

しかし、結成した限りは、

クラブや同好会は、

生徒のものです。

生徒が中心です。

自分が 好き でやりたいから

やるのです。

自分の 青春 をそれに捧げたいから

やるのです。

自分を 鍛えたい から

やるのです。

そして、自分が自分に

勝つためにやるのだと思います。


 ゲーテの

『ファースト』の中に、

「 人間の活動は、

とかく緩(ゆる)みがちです。

人間はすぐ 絶対的な休息 

をしたがるのです。」 というのがあります。

その通りです。

しかし、

「絶対的な休息」は、

人間を人間で なくします。

僕達若者には、

「絶対的休息」はありえません。

若者で無くなってしまいます。

無論、人生において

「若者である」時に一番

「迷い」ます。

迷うのは若者の特権です。

迷うことは 素晴らしい ことです。


「人間は、

努めているあいだは

“迷う”ものだ」(ゲーテ・『ファースト』)

「迷う」事をやめた時、

それは、「努めている」事をやめた時です。

そして自動的に「若者」で

なくなっている時です。

 君は若者です。

今迷っているのだと思います。

悩んでいるのだと思います。

それは素晴らしい事です。

しかし「絶対的な休息」だけは

してはいけません。

 君の情熱はすばらしいものです。

「バトミントン」

それは君の青春です。

高校生活をそれに

掛けてみて下さい。


  君にぼくの詩

(題はナシの九行詩)をあげます。


 ふと淋しさがこみ上げてくる 

言いようのない

きょき(すすり泣き)が訪れる

ほんの一瞬の透き間をぬって 

心の片隅のひび割れから

忍び寄る

人生の孤独を

いったい誰が説明出来よう 

寂然(せきぜん)と座した時 

 人は無になる 

その無が

すべての根元であったのか 

何故思いの果てに

人は心を寄せ

 身を任そうとするのか


 文化祭、

フランクフルトを、

よろしく頼みます。

   以上






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