「マルタン丸山」のホーム・ページです。

トップページへ・・・
「小説」の見出しページへ
「1年2組学級日誌」の始めのページへ 戻る

『 1年2組 学級日誌 』  (新長編小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)

  

  



【5月17日(水)晴 31番N・T】

 「高校」という言葉が頭に浮かぶと、

君は何を思うか?

私は「 青春 」という言葉。

「 青春 」それは何か?

楽しいもの、苦しいもの、

若さあふれる生活など

いろいろ考えが出て来ると思う。

「 青春 」は、私たちの目に

見えない。

それより、自分で求めて

行くものだと思う。


 性格は、消極的で人から見ると、

取っ付きにくいようだが、

話してみると、

すぐその気にのってつけあがる所もある。

 本は面倒くさいので、

あまり読みませんが、

有吉佐和子の

『 私は忘れない 』を読んで、

感動した。

少し内容を言うと……。


主人公の「まり子」が「黒島」に行った。

黒島は、「文明の発達していない島」

である。

島民は、大人も子供も、

テレビもラジオも自動車も知らない。

去年、やっと電気が通じて、

ラジオが聞けるようになっただけである。

人々は、

自然に頼って生活している

原始的な生活である。

万里子・校長・教頭・君雄らの暖かい友情、

そして島の子供達との心の触れ合いを、

いくつかの場面に分けて書かれている。


 私は、これを読んで

自分の生活を考えた。

私たちは

何の不足もなく自由に生活している日本。

又、その反対に、

文化が一向に進んでいない日本の中の

小さな島が、

信じられない。

人間の奥底にある

「 力 」のようなものを感じた。

不思議な「 力 」である。


=========/=========/==========

 有吉佐和子の

『 有田川 』

『 紀ノ川 』それに

『 私は忘れない! 』も読みました。

彼女は実証的な作家です。

かなり綿密に調査し、

それは、小説として表現しています。

しかも、女性ですから、

感受性は鋭いものを持っていて、

そのまま表現するのです。

読者に取っては

あまりにも強烈なものになります。

一人の人間の 運不運 を書くのです。


 今日の授業で話した、

芥川龍之介の 『 手巾(ハンカチ) 』

という作品もよんでみて下さい。

短いですが、

明治・大正の 女性 を

象徴的に描いています。

芥川 と 三島由紀夫 と 

川端康成 の共通点は、

「 武士道 」だと思います。

授業中に話したけど、

理解できたかな?

 「 青春 」については、

教室の前の本立ての中の

北杜夫の『 ドクトルマンボー青春期』

が、面白いですよ。

ぜひ、読んでみて下さい。 

   以上

=======/=====/======

・・・「5月19日 32番」へ 進む・・・

・・・「5月17日 30番」へ 戻る・・・

・・・「5月16日 29番」へ 戻る・・・

・・・「5月15日 28番」へ 戻る・・・

・・・「5月13日 27番」へ 戻る・・・

・・・「5月12日 26番」へ 戻る・・・

・・・「5月11日 25番」へ 戻る・・・

・・・「5月10日 24番」へ 戻る・・・

・・・「5月9日 23番」へ 戻る・・・

・・・「5月8日 22番」へ 戻る・・・

・・・「5月6日 21番」へ 戻る・・・

・・・「5月2日 20番」へ 戻る・・・

・・・「5月1日 19番」へ 戻る・・・

・・・「4月28日 18番」へ 戻る・・・
・・・「4月27日 17番」へ 戻る・・・

・・・「4月26日 16番」へ 戻る・・・