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『  1年2組 学級日誌 』  (新長編小説) 
      ・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
        (昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)

  


【1月19日(金) 曇後晴れ 27番 T・K】

 3回目にもなりまして、

これが最後だと喜んで書いています。

やっぱり自分のノートや日記なんかは

気を落ち着かせてかけるけど、

みんなのノートとなると書くことがなくなってしまう。

本当に今書くことが見つからないのです。

 自分で抱えきれなくなるほどの

大きな悩みもないし、

悲しいこともなく、

取り立てて喜ばしいこともないのです。

家と学校の往復と

家庭での生活に、

他から見れば

私なんて幸せ者なんでしょうね。

私自身も今の生活には

不満なんて全くないのです。

でも、淋しくなる時ってあります。

 学校でみんなとワイワイ言ってても、

家で食事やTVを見ている時でも、

幸せ過ぎてこれでいいのかなって。

何かをやらなくては、

何かを掴まなくてはと。

それは、学生の間に

出来ることといえば

なになんだろうと。

学校で勉強をすることも

学生に取っては大切なことです。

また、クラブに打ち込むことも

何かを掴めるでしょう。

でも、そんなものではないのです。

私が感じたものは、



今はまだ、学生という立場と

若いということで

はっきりと考えが打ち出されません。

でも毎日思っています。

何かをやらなくちゃって。

 話しは変わって、

1月の7日に姉様が

「お嫁」に行っちゃいました。

だから余計に家の中が淋しいです。

でも、幸せになったんだから

妹の私は喜ばなくっちゃいけませんね。

今年になっての一番喜ばしいことは、

「結婚」でした。

 あと2年です、

18才まで。

18才という言葉に憧れは持っていません。

むしろ二十歳という言葉に

憧れを持っているのです。

高校をでるのが

後2年ということです。

高校をでるのが嬉しいのではありません。

むしろ学生をずっと続けていたいです。

でも、大学には行きたくありません。

何故かって、何故だか言えません。

でも、何かをやっていくのに、

あるのも2年縛られていると

出来ないのです。

私は学校に縛られているとか、

親がうるさいとか、

そんなことを言っているのではありません。

私自身の気持ちの上で縛られているのです。

今の私は、学生というか

16才ということ。

私の考えを大声で叫んでも何人の人が

本気で聞いてくれるでしょう。

今の私はそうです。

それは大人になっても、

また教師や政治家になっても

言えることだと思います。

そんなことを考えると

淋しくなってきます。

だから、早く私の気持ちを

自由にしたいです。

自由になりたいてす。

私は 就職 します。

高校を出たらです。

女の子だからキレイな物に憧れています。

服屋さんかお化粧屋さんに

勤めたいなんて思っています。

そうなりたいです。

他の人も私もキレイになっていくのは、

女の子にとって最大の楽しみです。

少なくとも私はそう思っているのです。

 坂本マモル君っていう

フォーク歌手を知っていますか?

加川良さんに声がちょっぴり似ています。

ギターも上手いです。

でも彼はやはり加川良さんや

浅川マキさんのような人と話していると、

ピリッと緊張すると言っていました。

やはり加川さんは

偉大な人なんだなあって気がします。

加川さんの

「下宿屋」っていうの知っていますか?

高田渡さんのことを歌っています。

とっても好きな歌です。

それと、ディランⅡの

「おいらのあの娘」っていう歌も好きです。

マモル君の「あやつり人形」といううたは、

かなり言い歌です。

それから、

外国でレコードを出した

日本の女性を知っていますか?

「五輪真弓」という人です。

『少女・空を見上げる夜は』

のレコードを出しています。

綺麗な裏声をちらっと聞かせてくれて、

まあまあの出来です。

声は良いです。

もっと歌っていけば、

きっと「浅川マキ」さんのように

名も売れると思って、

私一人期待しているのですが……。

   では、さようなら。



 【ふろく】

えー、お別れを言ったのに、

まだ書き足しています。

何故かって?

今日学校に行ったら、

M先生かお休みだった

(「風邪引き」と

「スキーで折った膝が痛み病院」だそうです。

変わりに来た先生が

朝礼の後で言ってられた)ので、

また、私がこの日誌を

家に持って帰りました。

 今ね、前の人のを読んでいたんです。

かなりクラスの皆さんは

深く物事を考えたり、

悩んだりしているようですね。

素晴らしいことです。

私が生きていくことで、

本当に素晴らしいことって感じるものを、

M先生にだけ教えます。

まず「悩む」ことです。

そして「愛する」ことです。

そして「自分に忠実であれ」。

私の素晴らしいことです。

いつもそうありたいと

願っていることです。

 7番のORさんの書いていたこと

(7月2日)だけど、

「先生は先生であって

生徒にはなれない」

ってことについて。

私は本当のことだと思います。

先生は気持ちの上の生徒ではなく、

私達と共に考え行動したいと

書いてありましたね。

確かにそう出来れば素晴らしいことです。

でも、本当に先生は

行動を共に出来るでしょうか。

先生は沢山のクラブの顧問を

していらっしゃるし、

現国を受け持つクラスも

沢山あるんだと思います。

そして先生はそういう時に知った

生徒達とすべて友達になり、

行動を共にしたいと

思っていらっしゃるのではないのですか?

それは不可能です。

何故って、M先生は何よりまず

「教師」のです

(学校の中では)。

そして、その立場から

クラブの顧問であり、

クラス担任であり、

かつまた現国の先生であります。

いわば3つの世界があって、

それらのものはそれらなりに

「やること」があるでしょう。

だとしたら、

「あちらを立てれば

こちらが立たず」

というようなことが

きっと起こってきますよ。

だから私は気持ちの上での

「1年2組」の一員でもいいと思うのです。

気持ちの上でです。

でもきっと先生は「いやそうではない」

と感じられるでしょうね。

でも私が先生も

「1年2組の一員だから共に行動を」と言っても、

先生自身が声を限りに叫んだとしても、

現実は「先生と生徒」なんだと

言われてしまうような気がします。

先生も私達の事を信用して下さっています。

私達も先生を信用して付いて行く

(といっては変だけど)、

それが本当なのではないでしょうか。

それで良いのではないでしょうか。

私だけの一方的な考えですが。

 話しは変わります。

1月11日の23番TYさんの返事で、

先生の書いておられたことに関連して、

女の子も多くの恋をしますし、

女の子も何人もの人に憧れを抱き、

好きになります。

人間ってそうではないでしょうか。

そして愛を掴むのです

男女の別なくそうだと思います。

そして愛を掴んでも、

この愛は嘘だったんだ、

偽物だったんだと感じると愛を離していくんです。

そしてまた愛を掴もうと努力するのです。

それは、女の子も同じです。

全部の女の子とは言いませんが、

そうやって男も女も生きているのではないかな。

そして嘘の愛をつかんだ後で、

「あっ、失敗だ」と感じた時、

女の子だからって

罪の意識をなくしてはいけません。

女の子は受身だからって

他人の同情をかう様なことをしてはいけません。

むしろ非難されるべきなのです。

恋愛をしていつも泣くのは

女の子だけではありません。

男の子も泣く時があるのです。

むろん女の子も傷つくのです。

でも少なくとも最初付き合っていた時は、

あっ、間違った愛を掴んでしまったと気付くまでは、

二人とも本気だったんですから。

いえ、一方だけでも本気だったんですから。

それが大事だと思います。

そして、男の子の中にも少人数あるように、

「恋愛は遊び」と考えて

何人もの人と付き合うということを、

女の子の中にも少人数はいるというごとを、

先生はご存じですか?

本当にいますよ。

ごく一部の人なのですが。

私はそういう人達を軽蔑したくないけど、

あまり好みません。

ともかく私はいつも本気でありたいと思います。

人を愛する時も、

人から好かれる時も。

 M先生、アメリカに行ったって?

そこでヒッピーだったんだって?

彼らはどうだった?生きてましたか?

自由だったですか?

私もアメリカへ行ってみたいです。

本場のヒッピーを感じたいです。

私は、ヒッピー系です。

アイビーてもなく、

ヨーロピアンでもなく

ヤンキホでもない、

ヒッピー系なのです。

ロック好きです。

今はハートより

ウエスト・コーストが気に入ってイマス。

クイック・シルバー、

ジョージ・がん、

ブロンコニール ヤング。

テン・イヤズ・アフターいいです。

みんないいです。

フォークも好きです。

何でも好きです。

私も、「何かやらなくちゃ!!!」

==============/==============/===============

    (日誌 二日間ありがとう。

風邪とスキー部の

比良山冬合宿での 足骨折 部分が

痛んで休みました。)

「五輪真弓」さんのことは知りませんでしたが、

気をつけてラジオを聞いてみます。

フォークソングで

「ホモサピエンス」というグループがいます。

まだ全然有名じゃないし売れていませんが、

『何かいい事ないだろか?』

という歌を出しています。

 ♪♪もし、人に

「あなたは何を今やっていますか?」

と尋ねられたら、

「何かいい事ないだろか?」

と答えてしまう。

それぞれの年齢で、

例えば高校時代は

「ラクビー」、

今は「ギター」など、

生き甲斐があるような顔をしているけど、

で、やっぱり

「何かいい事ないか?」と探している。♪♪

 というような歌なんです。

君も書いているけど、

「何かやらなくちゃ」って言葉は、

若者の特権だと思う。

若者はいつも悩んでるんです。

悩むことに若さがあるんだと思う。

本当の若者、

それは、「何かをやってても」、

「何かいい事があっても」、

なおかつ「何かいい事ないだろか」

「何かやらなくちゃ」と悩むものだと思う。

君は将来、「服屋」さんか

「化粧屋」さんと書いているが良い職業だと思う。

新しい物を作りだし、人を美しくする、って素晴らしい事だと思う。

 また、君が「ふろく」に書いてあった

「私が生きていく事で

本当に素晴らしいこと」、

それは、

「愛すること、

そして自分に忠実であれ」。

これもまた

「素晴らしい言葉」だ。

 「自分に忠実」と言う言葉で、

ぼくの事を書こうと思う。

「ぼくが生徒になれるか?」

という問題だけど、

ぼく自身、生徒と行動する時、

「生徒以上に生徒」になる時がある。

ものすごく熱中してしまってね

まったく高校時代の自分になっているのだ。

ぼくは、自分が気持ちや行動として、

生徒以上に生徒になれる自信がある。

自分の気持ちに「忠実」になって「行動」している。

その意味で、自分に忠実な時、

「気持ち」の上で

「先生も生徒になれる」と思っている。

 話し変わって、

「ヒッピー」の事だけど、

「ヨーロッパ」をヒッピーしながら回りました。

約2ヶ月間。

パリ・ローマ・ロンドン・アムステルダム……。

世界中のヒッピーが集まって来ている。

別に何をするってわけじゃないけど、

自由に行動している。

何となく

「たむろしている」っていうのが、

本当だと思う。

何となく「旅」している。

「旅行」ではなく、

「旅」している。

また行きたいナァーーーー。 

   以上






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