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・・・・・・49 「 奈良市の尼寺

『法華寺(ほっけじ)』・

(国宝)十一面 観音菩薩 立像

(じゅういちめん かんのんぼさつ りつぞう) 」

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近鉄奈良駅からバスで15分(車で5分)、

近鉄新大宮駅より、

歩いて約17分に

『 法華寺 』があります。









4月1日から特別御開帳が始まり、

境内に入ると、

「吉野桜」や





「枝垂れ桜」が満開でした。



門を入ってすぐ右に

「横笛堂」があり、
高山樗牛(たかやまちょぎゅう)の小説

『滝口入道(たきぐちにゅうどう)』の、
悲恋物語のヒロイン「横笛」が尼になり、

後に住んだのが、

この建物だそうです。





また、奥には「からふろ」

(今でいう「サウナ」)と呼ばれる建物があり、
中には、二室の

「むし風呂」があるそうです。


すぐ横の涸れることのない

「井戸」の「水」を利用し、
難病の人々に、

入浴の恵み与えたそうです。








さて、

いよいよ薄暗い

「本堂」の中に入ります。





五十数名の御弟子さんを前にした、
国宝で平安時代の彫刻

「十一面観音菩薩立像」のを御拝顔です。





木の肌の木目をそのまま残した

一木造の「仏様」で、

「光明皇后(こうみょうこうごう)」の

姿を映したものと言われ、

左手に「宝の瓶(びん)」をさげ、

右足に柔らかく腰を捻(ね)じらせ、

右手で 天衣 を軽くつまみ、

右の足の 親指 をわずかに上げ、

今にも、歩き出そうとなさっています。
仏像の周りの「光背(こうはい)」は、

すべて「蓮葉(はすは)」と

「蕾(つぼみ)」だけの特異なものです。

お顔を良く見ると、

髪や髭(ひげ)は、

「群青(ぐんじょう)色」、

唇は「朱色」で、

目は「白色」、

瞳と肩の髪と十面の冠と

腕に巻かれた輪などは、

すべて「銅色」です。
それが、

美しく豊満な木肌と調和し、

もの言えぬ「官能美」を、
彷彿(ほうふつ)と漂わせています。
河内長野市の

「観心寺」の仏様とは、

また違った色気で、
和辻哲郎(わつじてつろう)

『古寺巡礼』や、
亀井勝一郎(かめいかついちろう)

『美貌の皇后』などで、
絶賛されているのが理解できました。

感動です。

春を漂わせる「御庭」に出ながら、

もう一度「拝顔」して、

別れを告げました。