「マルタン丸山」のホーム・ページです。

トップページへ・・・
「小説」の見出しページへ
「 1年2組 学級日誌 」のはじめのページへ 戻る

『 1年2組 学級日誌 』   (連載小説)

      ・・・半世紀前の女子高の学級日誌・・・
          (昭和47〈1972〉年~48年)

    
【・・・プロローグ(口上)・・・】

学校移転の最終日だった。

この年で退職の尾上先生から、

メールが入っていた。

「ロッカーの上から

『それ』らしいのが出てきた。

ホコリだらけ。どうしますか?」

すぐ、携帯電話をし、

車で取りに行くことを告げ、

旧校舎に向かった。


頭の中にいろいろなことが思い浮かんだ。

もう数十年になる、

紛失(?)してから……。

一週間前に、

新校舎移転のための

「旧校舎お別れ会」に招待された私は、

尾上さんに話していたことがある。

それは、夢の中で、


40数年前、

私がこの「JK高校」に赴任し、

初めて担任になったクラスの生徒達が、

「1年2組の学級日誌は、

どこにありますか?」

と、私に詰め寄りながら言うのだ。


その「学級日誌」は、

数年前、

私が退職の時に、

更衣室を探し回ったが、

見付けられなかった日誌だ。

頭の片隅で、

ずっと気になっていた日誌だ。


車の中で、

半世紀前近くになる

『学級日誌』の表紙が、

ぼんやりと思いだされた。



旧校舎の更衣室のロッカーにたどり着き、

椅子を踏み台にして、

2m上のロッカー上を見上げて、

叫んだ。


「日誌や。間違いない。」

周りは片付けられていたが、

そこだけが、

埃だらけになって残されていた

大学ノートが積まれてある。

カバーに見覚えがあった。

ゆっくり上から下ろし、

そっと埃を取り払い、

表紙を開けて尾上先生に言った。

「ありがとう。間違いない。

私の学級日誌、

いや私達1年2組の学級日誌や。」


懐かしさが、溢れてきた。

半世紀近く前の思い出が、

火山のように噴出してきた。

家に帰って、古ぼけた表紙を開けて、

「前書き」から読み始めた。





・・・日誌の「前書き」のページへ  進む・・・