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『 1年2組 学級日誌 』 (新長編小説)
・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
(昭和47〈1972〉年4月~48年3月まで)
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【2月26日(月) 晴 54番 Y・K】
(今日は、3年生の
「卒業式」で、
1年の私達は、お休みです。
卒業生(3年生)、
おめでとうございます。
そして私達はお休みで、
仕合わせです。
ありとうございます。)
本当は、今日の日誌は
「黒ペン」で書きたかったんです
・・・どうしても・・・だけど
あいにく
黒のスペェアーインキが
切れてしまっていて、
この間 買ったばかりのスペェアーまで
どこに直したか思い出せない。
だから仕方なく
この青インクで書いているのだ、
最後の日誌なのに…………。
今日 私 髪を切ったんです。
ナントナク。
うしろが寂しいみたい。
似合っているのかな?
自分では分からない。
M先生の目から見てどうですか?
何故切ったのか?
別に失恋した分けではないのです。
と言いたいところですが
もしかしたら
失恋しているかもしれないネ。
本当は理由なんかないのです。
ただなんとなく鏡を見ていると
急に切りたくなって
…ジョッキリ……800円パー。
現在PM10時59分
あと61分で27日(火)
最後の日誌だと思うと
なんだか寂しい。
だから今日はウンとたくさん書こうと
思っているんだけど何を書こう。
そうだ今日はボーイフレンドに
手紙を書いている調子で
出来る限り甘く書こう。
M先生を私のボーイフレンドだと思って。
……へへへ……書きながら赤面している私……
先生をyouと書いているので
そのつもりで……。
あと52分で
27日になろうとしている今。
急にyouに手紙を書きたくなりました。
今頃何をしているのでしょうか。
もう眠っているのでしょうか。
それとも、もうすぐ始まる
期末考査のテスト問題を
必死になってつくっているのかな?
もしそうだったら、
どうぞ出来るだけ簡単な問題にして下さい。
youの可愛いかわいい
ガールフレンドが受けるのですから。
(M先生、私を可愛いガールフレンドだと
ここだけで良いから思っていて下さい。
でないとあまりにも
書きにくい文面だからネ。)
もうヤンリクが始まった。
では、お休みなさい。
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今、
「卒業式」が終わった。
この卒業した学年は、
思い出が多い。
こみ上げてくるものがある。
ぼくが、一昨年、
この学校に採用されて
初めて教えた学年だ。
「教えた」というよりも
「教わった」。
新米の教師を見て、
いろんなアドバイスをくれた。
「卒業式」の様子を書きます。
講堂の中は、
朝礼でいつも聞く音楽が鳴り、
静寂に包まれ、1組から順次、
10クラスの生徒が入場し、
決められた位置に着席する。
音楽が終わって、
司会者が
「卒業式に先駆けて国歌継承、
全員起立!」
と指示する。
「君が代」が
厳かに鳴り渡り、
歌われる。
次の「着席!」の声で、
緊張は緩み出席者は着席する。
その後、
1組から生徒の一人ひとりの名前を、
担任が読み上げていく。
呼ばれた生徒は
「はい!」と返事をして立ち上がる。
最後に
1組代表の名前を読み上げられ、
代表が前に進み
舞台の階段を上がり、
校長の前に進み出る。
校長は
「卒業証書」を読み上げ
代表に手渡す。
生徒は深く頭を下げ、
全員の証書を受け取り、
回れ右して証書を持ったまま
階段を下りていき、
証書を所定の場所に置いて、
自分の席に戻って行く。
ひとクラス数分。
3~4組あたりから、
生徒達の
すすり泣く声が聞こえてくる。
10組まで終わり。
在校生代表の 祝辞 の後、
卒業生代表の お別れの言葉が
読み上げられる時、
すすり泣きが
泣き声になり、
最後
「卒業の歌」の
「仰げば尊し……」と
「お別れのうた」の
「みな…ぁさま…、おわぁかれ、
また会う…その日まで…
さ・よ・う・な・らぁ……」
この時には、
全員がハンカチを出し、
目頭を拭き、
鼻を押さえながら歌い続け、
ご両親の皆さんもハンカチで
涙を拭き続ける。
いよいよ
退場が伝えられ、
呼ばれたクラスから
退場して行く。
涙は下に落ち
床が濡れて
光っている。
これが
「女子高校」の卒業式です。
感動しました。
男子校で育った僕は、
感動の感動で、
貰い泣く泣きして、
涙があふれ流れました。
そうそう、
「JK高校は」では、
卒業式の後、
夕方からホテルで
「謝恩会」がある。
卒業生・卒業生の父母・先生方が夕
食を共にする。
千人前後の夕食会だ。
すごいね。
しかも、卒業生が計画をたて、
司会から余興演芸までする。
各クラスが
それぞれの知恵をを出し合って、
歌あり、
寸劇あり、
ダンスありの盛りだくさんだ。
今から出かけます。