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『 　1年2組　学級日誌　』　 (新長編小説)　
　　　　　　・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
　　　　　　　　（昭和47〈1972〉年４月～４８年３月まで）

　　


【１月２３日（火）　晴れ　３０番　Ｔ・Ｆ】

　２８番のＴ・Ｊさんの

日誌で書いてあったけど、

タクローの最初の曲は

「じゅんちゃん」で間違いないです。

タクローが猛烈に好きだった

女の子の名前だそうです。

羨（うらや）ましいです。

私は、

「ふさちゃん」ですが、

中学の時、男の子から

「“ふさ”ってあんまり、

ええ名前とちゃうな！」

と言われました。

がっくりしました。

「なんでやねん？」

と言い返そうとしたのですが、

カッコイイ男の子だったので、

黙ってました。

それ以後「房」の字が

嫌いになってきました。

もっといい名前を付けて欲しかった、

と親を恨んでいます。

　話しは変わって、

冬休みに、映画

『草原の輝き』を見ました。

とても良かったです。

確かに感動がありました。

この映画の中で、

二人の男女がすごく純粋に

愛し合うけれど、

少し悲しかったのは、

「プラトニックラブは、

やはり、あり得ない」ということです。

　『草原の輝き』のストーリー……。

二人は出逢い、

意気投合し、

愛し合うのですが、

かれは、彼女に求めたんです。

でも、彼女は拒みました。

彼女の母親の躾（しつけ）なのです。

「結婚までは、

関係を持っちゃいけない」って。

（私の母もそう言っていますし、

アメリカも日本も

同じなのだと驚きました。）

ところが、彼は、

愛しているがゆえに、

彼女に求めたのです。

彼女は拒み続けました。

彼は、他の女の子と

付き合うようになりました。

もっと自由に求め合う相手と……。

愛は存在しませんでした。

彼女は、

後悔と

嫉妬（ジラシー）と

自己嫌悪、

それに友達の目の冷たさ、

そして冷たさ。

それらが同時に彼女の心にのしかかり、

彼女は「半狂乱」になりました。

彼女は彼の所に行き、

「自分を奪ってほしい」と言いました。

けれども、今度は彼が

受け付けませんでした。

屈辱のため、

そしていろいろのことのため、

彼女は「狂い」ました。

療養所（精神病院）に入院し、

同じ入院患者のある男の人と

仲良くなりました。

彼女は落ち着きを取り戻しました。

そしてその男の人に

ポロポーズされたのです。

けれど彼女は、

はっきり返事をしなかったのです。

彼女には、まだ彼のことが

忘れられないでいたから……。

　前の彼の家は、

株売買で大金を手に入れ

成金だったが、

突然の株の大暴落によって、

すっかり財産を無くしてし、

街の片隅で

貧しく暮らしている友達から聞き、

彼女は、尋ねて行った。

けれど、彼はすでに結婚していたです。

でも、彼女は驚きませんでした。

彼と別れて帰ってゆく彼女の胸に、

学生時代の

「草原の輝き」の詩が

よみがえりました。

　若い頃の思い出は、

美しく綺麗なものである。

けれど今がそうでなかったとしても、

決して悲しんだりしてはいけない……。

　彼女の目には涙は光っておらず、

小さなほほえみが浮かび、

前を見つめていた。

オワリ

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　君の名の、

「房（ふさ）」という字の意味は、

花や実などが

数多く群がっているもの。

より豊かであること、

を意味します。

その「房」の字を使った

「房宿（ぼうしょく）」

という言葉を知っていますか？

「ぼうしょく」またの名を

「そいぼし」とも言います。

普通は「そいぼし」と呼ばれ、

南の空の「蠍座（さそりざ）」の西にある、

美しい星です。

　「さそり座」の中心星は、

「アンタレス（火星の敵という意味）」で、

火星とは仲が悪いけれど、

大きくて力強い星です。

その「アンタレス」には、

「２６」の家来がいて、

「さそり」の形を作っているけど、

もう一つ「さそり」の形をなすのに

必要な星があります。

その星がなければ、

「さそり」の形にならない。

その必要な「大事な星」すなわち、

それが「そいぼし（房宿）」なのです。

　「そいぼし」は、

「アンタレス」の「奥さん」ですが、

「そいぼし」自身も一人では、

何も出来ない星です。

「アンタレス」がいるからこそ

「そいぼし」は存在します。

幸福な星です。

　「そいぼし」は、以前、

「火星」が自分の旦那さんになると思い、

近づいていきます。

浮気者の「火星」には、

美しい奥さん「金星」がいますが、

「そいぼし」をだまし、

自分のものしょうとします。

もう少しで「火星」にだまされるその時、

「ひこぼし」を助けたのが、

「アンタレス」です。

だから「火星」にとっては

「アンタレス」は敵であり、

「アンタレス」にとって「火星」は、

大嫌いなのです。

　「そいぼし」は、

自分から行動してはいけません。

じっと待っています。

「忍耐」です。

「忍耐」をもっていると、

「そいぼし」は、

幸福になります。

　君も「房」という名前から見て、

将来

「アンタレス」のような

素晴らしい人から

見付けてもらえます。

安心して下さい。

ただしあわててはいけませんよ。

「アンタレス」が君を見付けて

近づいて来ると思いますので、

君はじっと待っていて下さい。

「忍耐」です。　以上