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『 　1年2組　学級日誌　』　 (新長編小説)　
　　　　　　・・・半世紀前の女子高校の学級日誌・・・
　　　　　　　　（昭和47〈1972〉年４月～４８年３月まで）

　　


【１月２０日（火）　晴れ　２８番　Ｔ・Ｊ】

風邪引きで、

今日は昼から早引きし、

家で蒲団を引き、

寝てました。

呼吸は

「ヒキヒキ（引き引き）」

言ってましたが、

今はまだ８時だけど、

すごく調子が良くて、

ラジオを聞き

（「ジーンズ・サンズ」という

あまり知らないフォークソング）

ながら書いてます。

　最近

「フォークソング」が好きで好きで

たまらなくなってきました。

「タクロー」が一番好きです。

ＬＰを聞いていたら、

もう「ポー」としちゃって、

何もやる気がなくなってきます。

タクローの歌って全ていいね。

私は

「まにあうかもしれない」とか

「祭りのあと」

なんてえのが最高に好き。

この前

「ケメ」のＬＰも買ったけど、

やっぱりタクローのが

良過ぎたせいか、

あまりいいとは思いませんでした。

「ケメ」のは、

静かでよく似たメロディが多いみたい。

タクローの初めの曲は

「じゆんちゃん」です。

私のニックネームで、

とても嬉しいです。

　私、もっともっとギターも歌も

上手くならないかなぁ。

「フォークソングクラブ」と

「タイプクラブ」と

両方入っているけど、

タイプの方は全然出席していない。

フォークの方だけ行ってる。

私のガラにあわへんみたい。

そろそろやめるかも知れへん。

フォークだけになるかも知れへん。

２月１１日に

フォークのコンサートがあるので行きます。

　そうそう、Ｍ先生、

電話ありがとうございます。

母の方から電話せんとあかんのに、

すいませんでした。

「母が、家に着いたことを

学校に電話せんとあかんのとちゃうのん？」

って言ってましたのに、

私が

「ええのんとちゃうか？」

と答えてしまいました。

母は悪くありません、

私が悪かったので、

お許しください。

　もう、そろそろ。寝ます。

明日は学校に行きたい。

薬も飲んだし、

お休みなさい。

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　風邪（流感）、

本当に流行っている。

昨日は、７名が欠席、

今日も７名欠席。

６組は、１３名が欠席なので、

今日　５限から２７日の土曜日まで、

「学級閉鎖になった。

みんな身体に気をつけてほしい。

風邪を引いた人は無理をせずに

自宅で寝ていてください。

　今　外は雨が降っています。

今年になって多いなぁー、

雨。

【ひとりごと】

　時々、全てに対して

｢倦怠感（けんたいかん・

あきていやになる）｣に

取りつかれる。

自分が自分で嫌になる時がある。

疲れているんだと思うけど、

風邪を引いて、

骨を折った足が痛いからだと思うけど、

何かダルなものが僕を締め付ける。

　もう二ヶ月で、

君（たち）も二年になる。

早いね。本当に早い。

この間入学したばかりだったのに……。

　３月５日から

三学期の考査がある。

だから、あと、３０数日程で、

１年２組も

「解散」になる。

ぼくは次の４月から、

何年生の担任になるか分からないけど、

あるいは、

担任を持たないかも知れないけど、

もし持ったとしたら、

ぼくはこの１年２組のような

クラスの担任になりたい。

あるいは、ぼくは講師だから、

この１年で終わりかも知れない。

新１年生の生徒数に関係する。

もし激減するような事があれば、

講師から退職になる。

どうなるのか、

分からないし、

自信もない。

　１年２組というクラスが

クラスとして、

成功したのか、

成功していないのか、

ぼくが言うべき言葉でないだろうと思う。

君及び君達みんな一人一人が

感じる事だろうと思う。

あるいは、二年になった時、

あるいは三年になった時、

あるいは卒業して後、

分かることなのだろう。

　あるいは、クラスというものに、

成功も不成功もないのかも知れない。

あるいは成功不成功があったとしても、

何をもって決めるのか

分かるものではないかもしれない。

あるいは、人によって異なるのだろうか。

　この日誌の

四月十二日に

「先生はこうあるべきだ」

というのがありました。

（わたしの理想とする

先生のタイプ

「先生はこうあるべきだ」）

一　　ひいきをしない。

二　　ユーモアがある。

三　　顔じゃないんだ、

心だよというタイプ。

四　　良かった時にはほめてくれ、

悪い時にはしかってくれる。

五　　私たちの気持ちを

理解してくれる。

　この一年間やってみたけど、

この五つはすべて

実現出来ないものだったように思える。

何か一つ位は、

と思ったけれど、無理だった。

ぼくは「教師」は

無理なのかも知れない。

　そこで、こんな事を考えてみた。

（わたしの理想としない

先生のタイプ

「先生はこうあるべきではない」）

１　ひいきばかりする。

２　苦虫をかんだような

話しばかりする。

３　ひねくれた心で人を見て、

うたぐる。

４　いつでも生徒を

しかりつけている。

５　生徒の気持ちなんて関係ない、

ように行動する。

（おまけ）

６　授業が終わったら

すぐに帰り、

クラブや生徒との話など

一切やめる。

　もし、このような教師を

やたとしても、

給料は変わらないし

生活も変わらない。

とすると、その方が「楽」ではないか？

だったら、それでいいのではないか？

　これは、やっぱり、

とんでもない先生のように思える。

もし、こんな先生がいるなら、

会ってみたい。

いやはや、「教育」は、難しい。　

　　　 ・タクローの最初の曲は、

「じゅんちゃん」って本当ですか？

初恋の人の名前かな？

・昨日お宅に電話したけど、

お宅で昨日　電話　つけた

ばっかりだったのですか？

お母さんが

「先生が、電話をかけてきた

最初の方です」と

言っておられたけど……。　

以上